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しすたぁエンジェル

TerraLunar TERRA1001 Windows98/SE/Me版 18禁 超絶対御都合主義的恋愛妹アーカイブノベル
一押し:流菜
 最近余り見かけなくなったかっちりしたアニメ塗りの絵に惹かれてチェックしていた作品ですが、たまたま発売直後にはタイミングが合わず、購入を見合わせてしまいました。その後、発売1ヶ月も経たないうちに2980円で特売されていたのを見かけて購入したのでした。その様な値下げをされるソフトというのはたいがい何らかの問題を抱えてるものですが、果たして。

 主人公は、目を覚ますと見慣れぬ天井が目に入った。聞こえてくるのは空調の静かな騒音、心電図の電子音。鼻につく薬のにおい。主人公は事故に巻き込まれ、ここにいるのだった。だが、目は覚めたモノの主人公は自分の名前さえ思い出せない。そして、その傍らには見知らぬ少女が一人。彼女の名前は流菜。彼女が言うには主人公の妹らしい。身体的には何ら問題のなかった主人公は、目が覚めたことで退院。そして元々一人暮らしだった主人公は、心配する流菜と共にふたりきりの生活を始めるのだった。だが、主人公にとって流菜は年下の見知らぬ女の子。無防備な彼女にどきどきの日々を過ごすのかと思いきや、主人公を慕う(自称)後輩の女の子が転がり込んできて、そして家の開かずの間からは主人公をご主人様と慕うプチパペット(コンシューマ向け汎用メイドロボ)が発見され。主人公を慕う女の子達に囲まれてのドタバタの毎日は、主人公が記憶を失ってることに悩む暇すら与えてくれないのでした。

 ゲームはオーソドックスな選択肢で進行するタイプです。画面下部にメッセージウィンドウがあって、立ち絵が表示されて、という形式ですね。ですが、このゲームは非常ににぎやかです。立ち絵のパターンが多くてシナリオの内容にあわせて適切に操作されているというのももちろんですが、それ以外のギミックが満載です。例えば一般的にはメッセージウィンドウ内に表示する擬音を漫画のような書き文字にして画面にオーバーラップさせてみたり、他のゲームならはしょられそうな週刊誌風の告発シーンをわざわざ絵で見せたり。他にも立ち絵をスライド移動させたり、立ち絵ではないオリジナルのパーツを画面内縦横無尽に動かしてみたり。とにかく、そういう細かいパーツを出し惜しみせず、満載しているのが特徴といえるでしょう。他にも主人公視点でないシーンは、コミック風にコマ割画面とモノローグで処理してみたり、いろいろ工夫がなされています。
 進行は、全5話構成になっていて、各話の間には次回予告があるという最近では結構見かける形式です。が、これも先程書いた、細かい演出をおざなりにしていないおかげで見応えのあるものになっています。ちなみに第5話はヒロインそれぞれの話になっていて、そこまでにヒロイン達の話に分岐するだけフラグが立てられなかった場合、4話で終わってしまいます。

 CGは、冒頭に書いたとおりかっちりしたアニメ塗りで、好みは別れるかと思いますが、私は好きです。枚数はパターン違いを含めずに101枚。この中には演出で使われているカットなどは全く含まれていませんし、今時のゲームには珍しくスクロールする縦2画面(以上)サイズの絵なんかもたくさんあって、かなりのボリュームです。また、オープニングムービーにはやはりここに含まれない素材が利用されていたりと、かなり贅沢な作りになっています。
 音楽は、どたばたした日常をモチーフしたものや、シナリオに沿ったミステリアスな雰囲気のモノ、しっとりにしたモノなど、バリエーションも多く、曲によっては他の曲のアレンジ違いのものなどもあって、うまく目的に添った構成になっています。歌はオープニングで使われているものが1曲だけです。これはちょっと曲の元気の良さに押されてボーカルが弱く感じますが、タイトルで流れる同曲のインストバージョンの印象はかなり強いです。
 音声は、ヒロイン3人のみフルボイス。シナリオにあわせて声優さんもめちゃくちゃハイテンションで演技されており、メッセージウィンドウに表示されてない事までしゃべっていたり、逆にメッセージウィンドウに表示されてるモノを勝手に中略してたり。シナリオのテンポの良さを阻害しない、というか逆に加速させる、非常に良い音声だと思います。

 シナリオは、第4話までのドタバタと、第5話のシリアス部分に分かれます。こういう構成だと私は結構シリアス部分に文句を付けたりするのですが、このゲームの場合、第4話までにしっかりキャラクタが固められている上に、ジャンルにもある「超絶対御都合主義」のおかげで気持ちよく見ることができました。ヒロインによっては、この5話の選択如何でエンディングが変わりますが、それもそれぞれバッド/グッドなどと単純に分類できない、どちらも説得力のあるエンディングになっています。
 流れによっては、問題がちゃんと解決してないものもあるのですが、それすらもそこまでに体感してきた「超絶対御都合主義」のおかげで、先にはハッピーエンドしかないと確信できてしまうのでした。

 大変気に入った今作ですが、不満点もないわけではありません。まず、ゲームの難易度が高めです。どの選択をしてもそれなりに楽しいのですが、気ままにゲームを進めているとなかなかヒロインそれぞれのルートに入ることはできません。どこで間違ったか、というのがシナリオを読んでいてほとんどわからないと言うのはちょっと問題かもしれません。また、プロローグ部分の主人公が目が覚めるまでが結構長いのですが、この部分がスキップできないというのも気に入りません。最初の選択肢でセーブしておけば事足りるのですが、他のメッセージウィンドウのでない同様の箇所はスキップできるだけに不満です。
 あとは贅沢な不満なのでしょうけど、演出で使われたカットの数々が後で見返せないと言うのは残念です。たくさんあって、それぞれ印象深かっただけになおさらそう感じます。あとは、読み戻しで音声再生ができない点ですかね。声優さんの演技が優れてる今作だから、もう一度聞いておきたいと思わされる台詞もたくさんあって、この機能がないことに不満を覚えました。

 とはいえ、不満点も改めて書くなら、というレベルで、実際のプレイ中にはそんなことはほとんど考えずに夢中で楽しめました。テキストのノリや、画面をフルに活用した演出、各話のタイトルの言葉の選び方、次回予告などのノリの良さ、その他諸々、全てがお気に入りです。できることはできるだけ、とことん詰め込もうとした制作側の心意気を感じさせる意欲作でした。
 いろいろ書いてますが、やはり文章ではわかりづらいでしょうし、私もこのゲームをうまく表現できなくて歯がゆいです。実際動いているのを見るのが一番だと思います。メーカーサイトには、タイトルループで使用されている各ヒロインごとの放映予告みたいなムービーのうち、後輩の雛城真実バージョンが上がってます。妹の流菜バージョンや、メイドロボのメムバージョンの方がノリが良いのですが、雰囲気の一端は掴めるかと思います。できればオープニングムービーも見て頂けるといいのですが、これは残念ながら公開されてないみたいですね。

 あと、このゲームの初回版にはゲーム中の素材に新たな素材を足した、オリジナルシナリオ「みりめーとる編」が付属しています。こちらは本編では登場しないミリというメイドロボがヒロインになるストーリーですが、ちゃんと本編ヒロイン達の新規イベントなども追加されており、単なるおまけにとどまらない出来となっています。通常版が改めて販売されているかどうかはわからないのですが、購入するなら是非初回版を探すべきです。

 とにかく、久々に全面的に気に入ったゲームでした。演出のすばらしさは是非同業他社の方にもプレイしてもらって、勉強して頂きたい所です。

Floralia〜フローラリア〜

Xuse【純米】 XUSE-008 Windows98/Me/2000/XP版 18禁 誘惑VS純愛アドベンチャー
一押し:三ノ宮由佳里
 発売時には全くチェックしていなくて、掲示板に流れてくる好評価がだんだんと大きくなってきてはじめて知ったタイトルです。私は全く買ったことのないブランドのタイトルということもあって、少し心配ではあったのですが評価してる方がことごとく褒めているので購入に踏み切りました。

 主人公、橘洋介(名前変更不可)は、園芸部で部活動に勤しむ学生。母は幼い頃に他界し、父は学者で各地を転々としている。この学年度もイギリスの大学に呼ばれて渡英してしまった。一人暮らしの洋介には、あこがれの女性が居た。子供の頃隣に住んでいた年上の女の子。彼女、麻生鈴音は、洋介が小学生の頃に遠くの大学に進学して、洋介も引っ越してしまった為に離ればなれになってしまった。
 だが、春休みに入学式の準備の為に学園に行って、自宅に戻ってきた彼の前に居たのは彼女だった。彼女は父と密約していつの間にか、この家に同居することになっていたのだった。あこがれの女性との再会と同居に期待と不安を抱く洋介。だが、彼女は学園の新任教師としてこの町にやってきたのだった。そうして、彼女の友人であるやはり新任教師の槙いずみ、洋介の担任教師の櫻井詩乃までもが紆余曲折の末、同居することになる。
 その紆余曲折の間に彼女たちと肉体関係を持ってしまい、さらに迫ってくる彼女たち。だが洋介には学園に好意を寄せる女の子がいるのだった。果たして洋介は先生達の誘惑を交わして意中の彼女と仲良くなれるのか。

 ゲームを開始すると上に書いたあらすじ部分をプロローグとして見ることになります。そしてプロローグの後、ヒロイン3人のうち、誰が意中なのかを選択して本編がスタートします。
 システムはシンプルな選択肢型アドベンチャーです。昨日としては、既読スキップ、読み戻しなどはあります。必要最低限のモノは揃っていますが、ホイールに対応していなかったり、フォントが明朝体固定で変更できなかったりと、まだまだ改善の余地はあると思います。
 通常は背景絵の上に立ち絵が表示されて進行する形式なのですが、こういう形式としては珍しく立ち絵自身の絵を差し替えるのではなく、メッセージウィンドウ横の顔ウィンドウがくるくる変わって表情を現しています。立ち絵が動かないのは寂しいのですが、このフェイスウィンドウの表情はかなりのパターンが用意されていて見ていて楽しい出来となっています。
 先に書いたように、ゲーム冒頭でヒロインを選択しますが、一応最初の方は各ヒロイン共通の日常部分があって、ある程度進行すると各ヒロイン専用のエピソードに進むようになっています。選択による途中終了は、誘惑組の存在もあり、結構用意されていますが、基本的にはこのヒロイン専用ルートに乗るのは難しくありません。ですが、好感度の累積はカウントされているらしく、これを稼ぎ損ねていると最後にエンディングが変わってしまいます。とはいえ、どちらにせよハッピーエンドですし、それぞれにCGが用意されているのでコンプを目指す人ならどちらも試すべきです。
 誘惑組の先生達のエンディングも用意されています。これは、純愛組のヒロインをトゥルーエンドで終えた後に、同じヒロインを選択すると、対応する先生のルートに進めるようになるという形になります。トゥルーエンドを迎えるとタイトル画面に、そのヒロインのアイコンが増えますし、ヒロインセレクトの時に画面左に表示される顔アイコンが変化していて先生の絵が付加されているので一目瞭然です。

 CGは、淡い色彩ですね。絵柄自体は割と良くある感じで、好評を聞かなければ素通りしてしまうのもうなずけてしまいます。とはいえ、顔ウィンドウの表情付けは豊かで楽しいです。塗りなども拙く感じる所はなく、充分平均点を超えていると思います。枚数はヒロインごとにパターン違いを含まず12〜15枚。合計84枚です。ヒロインが6人と考えると多くはないですが、ゲーム期間もそれほど長くないのでプレイしていて少ないとは感じませんでした。
 音楽は、ポップで合いの手の楽しいオープニング曲が印象深いですね。ゲーム中の音楽は、強くは印象に残っていませんが、改めて聞いてみると初回特典にサウンドトラックCDを添付するのが納得の内容です。
 音声は、この業界でたくさん仕事をしておられる方も多く、キャライメージにあった演技、声質、どれも満足できるものでした。

 シナリオは、今時珍しいまっとうな恋愛モノですね。まあ、最初に先生3人と関係を持って同居してしまうという部分が特殊ですが、その後は奇跡とか魔法とか、異世界の住人とか前世の記憶とか、そういうファンタジーな要素は全く出てきません。一般的にはそういうお話も多いのでしょうけど、このジャンルでは最近余り見かけないので楽しめました。
 それだけでなく、ヒロイン達だけにとどまらず、主人公やその悪友、部活の先輩(男)などを含めたキャラの描き方がなかなか秀逸です。特に自分で考えて行動する主人公は、適度に抜けていつつも基本的には頭の回転が速く、人のことを気遣って行動できる格好良い奴で、感情移入に足る人物です。もちろんヒロイン達も評判に違わず、お約束を外していないながらも、だからこそストレートに可愛いと思える性格に描かれてて非常に好感を持てました。
 ただ、残念なのは誘惑組のヒロイン達の流れが彫り込まれておらず、おまけの様な扱いになっていたことです。主人公が先生達がやってくるまでの間思い続けていたヒロインを振るのが納得できるだけの心の動きが説明されていませんし、先生側もそれぞれ主人公を好きになった理由が説明されましたが、これは本当に説明になってしまっていて、もう少しイベントで手順を追って見せて欲しかった所です。特に鈴音は幼馴染みで、主人公のあこがれの人だったわけで、他の恋愛組ヒロインと同等以上の扱いでも良かったと思われるだけに勿体ないと思います。

 とはいえ、キャラ的には充分満足ですし、やはり評判にあった「エロい」というのも回想シーンが24も用意されてる事から想像が付くように充分満足できました。

 1プレイの時間は、プロローグから最後まで通して10時間程度。プロローグが2時間程度で、その後の共通部分もスキップできるので、各ヒロインのルートはそれぞれ6時間程度で遊べるでしょうか。
 絵が一見地味ですが、充分楽しめる良作だと思います。学園恋愛物が好きな人にはお勧めです。

みずいろ

ねこねこソフト Windows95/98/Me版 18禁 アドベンチャー
一押し:早坂日和
 熱狂的ファンのいるねこねこソフトの、やはり中古市場ではとんでもないプレミアの付いているタイトルです。そういう状況を知っていたので、さぞ面白いのだろうと思って先日のDVD版の再販を申し込んだのでした。

 プロローグは、主人公が義理の妹と二人暮らしをしている学生であることくらいしか書く内容がないのでパスさせてください。
 ゲームシステムは、選択式のアドベンチャーです。ゲームが始まるとまず主人公の子供時代がはじまり、ここでの行動如何で現在部分のヒロインが確定します。選択肢の数は少ないので、それほど選択が難しいということはありませんが、一部のヒロインは一つの選択肢でいきなり確定してしまったりするので、狙いがある人は要注意です。
 現在部分も普通の選択式アドベンチャー。ここでは先の過去部分の選択で、微妙に設定が違ってきます。シナリオによっては全く性格設定が違うヒロインなどもいるのです。とはいえ、すでにヒロインは確定しているので、選択では少々無茶をしても問題ありません。
 そして、ヒロインシナリオをクリアすると対応ヒロインのアフターシナリオとして、H中心のミニシナリオを遊ぶことができるようになります。
 操作系としては、既読スキップと読み戻しが用意されていて、普通にプレイする分には特に問題はありません。ただ、読み戻しはホイールに対応してませんし、メッセージ単位で1個ずつさかのぼっていかないといけないので、ちょっと不便です。セーブ・ロードは任意のタイミングで可能で、個数は選択肢の数を考えれば充分です。

 CGは、シーンによって塗りの質が全く違っていて、うまいシーンは確かに綺麗なのですが、そうでないシーンはかなり違和感がありました。立ち絵の微妙な表情などは良いと思いますが、いまいちシナリオ内容とあってないと感じることもありました。CG枚数は、パターン違いは数えずに129枚。ヒロイン数が5人ですからそこそこ多いと言えるのではないでしょうか。
 音楽は、オープニング、エンディング、挿入曲を数々のアダルトゲームの主題歌を歌っておられる佐藤裕美さんが担当しておられます。特にオープニングの「みずいろ」はゲーム中でインスト曲が幾たびも流れる為か、かなり印象深いですね。
 音声は、ヒロインのみで、先に書いた過去部分は一切音声無しとなっています。こちらは余所のゲームなどに参加されている方は見かけず、その為かいまいち拙い感じが見え隠れしていました。声質としてはいわゆるアニメ声っぽい早坂日和役の方が一番安心して聞いていられたように思います。

 シナリオなんですが……最初、過去部分を遊んで、かなり期待が高まりました。この部分は、子供の子供なりの優しさなどがうまく表現できていました。なのですが、その先の本編部分がかなり弱かったです。毎日朝、妹に起こされて、学校に出かけて、そこで寝て、昼休みにご飯を食べて、また寝て、帰ってご飯を食べて、寝る。そんな感じの毎日が続きます。もちろん、その主人公が起きている間にはヒロイン達との接触などもあるのですが、過去部分ですでにヒロインが決まっているので、そのヒロイン以外はほとんど脇役です。また、延々日常が続くとはいえ、その日常がおもしろおかしく描写されていればいいのですが、会話の内容はつっこみを恐れたのか、おおざっぱなことをいってるだけて全然物事の細かい内容に触れていない為、非常に上滑り感の強いものとなっています。具体的には、先に書いたように食事のシーンが結構あるのですが、そこで食べている品目が語られることは片手で語られるほどしかありませんでした。また、ヒロインによっては過去部分ですでにシナリオの肝部分が想像できる伏線が張られているのに、さんざん引っ張ってなかなか進展しなくてやきもきさせられました。
 ヒロインの個性は、極端すぎないまでも、それなりに入れ込める要素が用意されています。なのですが、主人公がかなりダメです。先に書いたように学校では寝るばかり。家でも二人暮らしなのに妹に全てを任せっぱなし。なのに偉そうだし、うるさいという理由で黙らせる為に女の子に暴力をふるったり。ヒロイン達によると「やさしい」らしいのですが、私にはとてもそう感じられませんでした。気になる女の子に優しくすることなんて特別でもなんでもないことですもんね。

 1プレイの時間は、6〜8時間程度。冒頭に書いたように、プレミアが付いてますし熱心なファンもいるゲームなので、期待してプレイしたのですが、その期待が大きかったのか、ほとんど楽しめませんでした。掲示板で「このゲームは日常の描写がなっていない。だから日常を描写しなくていい日和シナリオが良く感じるのだ」という意見がありましたが、全くその通りだと思います。
 DVD版の再販ももう終わってしまったようなので、再び入手することは困難になっているとは思いますが、個人的には無理に手に入れて遊ぶほどのものではないと思いました。

GALAXY ANGEL

ブロッコリー PBGP-0006 Windows98/2000/Me/XP版 アドベンチャー+リアルタイムシミュレーション
一押し:蘭花・フランボワーズ
 私にとっては同名アニメのゲーム化、なのですが、この企画自体がメディアミックスを起点としたもので、もともとこのゲーム版が最初だったみたいです。ともあれ、アニメをいたく気に入った私としてはこれもすかさずチェックしたのでした。実際は品薄で購入できたのはしばらく経ってからでしたが。

 主人公タクト・マイヤーズ(名前変更不可)は、トランスバール皇国軍所属の辺境艦隊の司令官。平和だった辺境で実戦経験もなく過ごしてきた彼とその部下だが、皇国のクーデターの報を受けて立ち往生する。そこに近づいてきた謎の飛行物体。それはトランスバール星の衛星である「白き月」に所属するエンジェル隊の「紋章機」。エンジェル隊の面々に連れられ中央にやってきたタクトは、旗艦エルシオールの司令官を任され、クーデターの唯一の生き残りであるシヴァ皇子を無事に中央から脱出させる任を受けるのだった。一癖も二癖もあるエンジェル隊の面々を率いて彼は無事に任務を果たすことができるだろうか。

 このような感じで、アニメ版から入って他に予備知識がない場合、面食らってしまうようなシリアスな話の流れです。
 ゲームは全11話構成で、話ごとに微妙に違いますが、1話が3パートに別れていてそれぞれのパートに艦内移動モードと戦闘モードが存在するというのが基本的な形です。
 艦内移動モードは、エルシオールの艦内を30分間、5分単位で移動するものです。要するに他のゲームのマップモードと同じですね。エルシオールの艦内は結構広いですが、どこに誰がいるかはシンボルが表示されますので、ヒロインを追いかけるのは難しくありません。ヒロインの好感度が低い場合、そのヒロインのシンボルが「?」となって誰かわからないこともありますが、このゲームのシステム上この状態になることは序盤に数回だと思います。ヒロインと遭遇すると会話が発生しその途中で選択肢と、やはり他のゲーム同様の展開となります。もちろん場合によってはイベント絵が表示されます。そして選択肢如何によって好感度が上昇します。好感度とは別に信頼度というのも存在していて、これも同様に上昇していきます。この信頼度が高くないと戦闘モードでそのヒロインの乗る紋章機の能力が低くなるので、戦闘で楽をしようと思うなら基本的に全部のヒロインにまんべんなくいい顔をしておく必要があります。というか、基本的に戦闘は多勢に無勢なのでお目当て以外のヒロインを蔑ろにした場合、クリアできなくなるんじゃないでしょうか。また、この好感度、信頼度はクジラルームに行くことで確認することができます。このクジラルームにヒロインがいる場合もありますが、その場合はヒロインのイベントの後にちゃんと確認できるようになっています。
 戦闘モードは、アニメでも使われているおなじみの紋章機の3Dモデルがそのまま使われています。ここでは、基本的にリアルタイムで自動的に進行していくのですが、プレイヤーはエンジェル隊の面々に「どの敵を攻撃するか」とか「どこに移動するか」とか「補給させる」などを指示することができます。序盤は難易度も低く、彼女たちの判断に任せていても負けることはないですが、先に進むと適切な指示をしないと勝てない面も出てきます。面によって、勝利条件や敗北条件が違いますので、それに合わせた適切な指示をすることが重要です。戦闘前に敵の布陣を確認できますが、場合によっては敵の増援もありますし、逆に味方の援軍がやってくることもあります。完璧な勝利を収めるには何度かプレイして、そういう偶発的要素を覚える必要があるでしょう。艦内移動の所で書いたように、彼女たちは信頼度というパラメタが設定されており、このパラメタが高いと紋章機はより強力になります。というか、クジラルームで信頼度を示すキャラの背景の色がオレンジ以上になっていないと、戦力としてほとんど期待できません。ゲーム中盤を過ぎた頃にヒロインが確定するのですが、このあとのヒロインはこの信頼度がぶっちぎりで高くなります。このような状態になるとその紋章機は他の4機を合わせた以上の力を発揮してくれます。また、この戦闘モードでは5機+1隻(エルシオール)の戦闘を同時に見ることはできません。見られるのは1つの視点のみなのですが、ここで選択しているヒロインはプレイヤー(タクト)の視線を気にしていろいろしゃべってくれます。プレイヤーが注視していなくても、自分の機体にダメージが蓄積したとか、敵を撃破したなどの報告は音声できっちりやってくれますので、音をちゃんと聞いて素早く指示を与えるのはこのゲームを有利に進める為の基本の一つと言えましょう。
 上に書きましたが、物語中盤過ぎにヒロインが確定し、ゲームをクリアするとそのヒロインとのエンディングを迎えることになります。これについては基本的にお目当てのヒロインを追いかけて、彼女に気に入られるような選択をしていけば問題ありません。多少の選択ミスは問題ないのでかなり簡単ですね。
 また、ゲーム中の要所にはアニメムービーが入り、飯島真理さんの歌うテーマ曲が流れたりして、盛り上げる所をきっちりおさえています。

 CGおよびアニメムービーは、アニメとは違ってコミックを描いているかなん氏によるキャラデザのものです。私は最初に書いたようにアニメから入ったので、最後まで「ギャラクシーエンジェルの同人作品を見ている」ような感がぬぐえませんでした。絵の枚数やアニメの数は構造の割に多いのですけど。
 音楽は、各ヒロインのテーマ曲とか、序盤の戦闘の曲とかのポップな曲と、物語が盛り上がってきてからの曲など、バリエーション豊かで、必要充分です。また、テーマ曲の使い方もうまく、見事に乗せられて盛り上がってしまいました。
 音声は、エンジェル隊の面々は当然アニメと同じキャストで、フルボイスです。また、エルシオールのクルー他、全てのキャラに音声がついています。もちろんみんなそれなりに他のアニメ作品などで活躍されている方で、質については文句なしです。量も、フルボイスであるばかりか、戦闘モードでの語りなども多くて、かなり楽しめました。

 シナリオについては、エンジェル隊の面々の個人的なエピソードはアニメなどと同じく楽しいものも多いのですが、全体的には良くあるタイプのものですね。ただ、それを表現する為に手間を惜しんでいない為に心地よく楽しむことができました。
 とはいえ、やはり「ギャラクシーエンジェル」という作品に求めていたのはこういうシリアスストーリーではなかったので、ちょっと当初は面食らってしまいました。逆にコミックや小説などから入ったならば、これが普通でアニメこそが異常なのでしょうけど。
 何にせよ、プレイするうちに馴染んで、最終的に全員クリアしましたから、ダメだということは全くないのです。

 不満点は、5人のヒロインをクリアするのに最低5回プレイしないといけないのに、既読スキップの機能がない点ですかね。それほどスキップしないといけないテキストが多いわけではないのですが、共通の流れにときどき好感度に応じた台詞などが差し込まれることがあって、その辺を迂闊にスキップしてしまいがちだったのが勿体なく感じました。

 1プレイの時間は、10時間程度でしょうか。共通部分をスキップすれば6時間程度で終われます。
 最初は3Dを使ったゲーム、という話を聞いて、期待しなかったのです。ですが、発売後に聞こえてくる好評を見て、考えを改めて期待してプレイしたのですが、それを裏切らないなかなか楽しいゲームに仕上がっています。DVD版やX-BOX版なども発売するようですから、興味のある方はお手頃なプラットフォームの作品に手を出してみてはいかがでしょうか。

Princess Holiday〜転がるりんご亭千夜一夜〜

AUGUST AUG-0021 Windows98/Me/2000/XP版 ファンタジックお姫様アドベンチャー
一押し:シルフィ・クラウド
 体験版を遊んで、雰囲気は悪くないと思っていて、さらに他の人から気になる評価が流れてきたので購入したゲームです。

 主人公「クリフ・クラウド(名前変更不可)」は、町から町を転々とする吟遊詩人。とある町に立ち寄った際に、故郷の妹からの手紙を受け取る。人づてで彼の元に届いた手紙はすり切れて、内容もわからず、とにかく故郷に戻るクリフ。戻った懐かしい町で出くわすちょっとした事件。そこで助けた世間知らずの女の子、レティシア。行き場のなさそうな彼女を連れて自宅の教会に戻るとそこには両親はおらず、妹のシルフィが一人で教会を切り盛りしていた。レティシアは成り行きで教会の隣の酒場「転がるりんご亭」で働くことになる。戻ってきたクリフを歓迎してくれる懐かしい人たちに囲まれて、にぎやかな日々が始まる。

 ゲームは、行き先選択型のアドベンチャーです。ゲーム期間は「ぶどうの月10日」からだいたい1ヶ月程度です。ゲームをスタートしてしばらくは各キャラの紹介的なエピソードが続いて、時折選択肢が現れるもののマップ移動などはないまま進行します。数日が経過した後、通常のマップ移動が始まります。マップ移動は、昼と夜に行われます。昼は場所に対して、どこにヒロインがいるかのシンボルが表示されます。夜は逆にヒロインがどこにいるかが表示されます。どちらにせよ、ヒロインを追いかけるには申し分のないシステムです。そして、ヒロインと遭遇してそこで現れる選択肢を適切に選んでいくと、「ぶどうの月の25日」にそれぞれのヒロインのルートに分岐します。ここから先はマップ移動はなく、ときどき選択肢があるのみです。
 システムは、既読スキップ、ホイール対応でボイス再生にも対応した読み返し、オートモードなど、基本的な物がそろっています。キーボードにも対応していて、全ての操作をキーボードで行うことができます。セーブ、ロードも任意のタイミングで行えて、80個のスロットが用意されているので不足することはないと思います。個人的には、共通部分が結構ある割にスキップの速度が遅いことと、そのスキップが1日の頭で止まってしまうこと、選択肢を選んだ後に継続しないことなどが気になりました。
 あと、このゲームでは立ちCGと同時に顔ウィンドウも用意されています。基本的な表情の変化は顔ウィンドウで行われますが、時折立ちCGの方でも表情が変わります。また立ちCGより大きくバストアップでキャラが表示されることもあります。

 CGは、ちょっと癖がありますが流行をつかんでるタイプの絵柄です。塗りもキャラも背景も充分なレベルだといえましょう。操作系やウィンドウ枠などのデザインも凝っていて、がんばっていると思います。イベントCGはパターン違いをのぞいて78枚。CGモードではこのほかにクリアしたヒロインの立ちCGや、ゲーム中にカットイン風に使われるSDキャラの絵も見ることができます。これらを全部含めると105枚なります。
 音楽は、舞台が中世ファンタジー風なのですが、それをあまり意識させない物が多いですね。オープニングで流れるヒロイン役の鳥居花音さんの歌は、ゲーム中に主人公が演奏する曲として使われています。が、それはリュートでは弾けないだろうという様な曲なのがちょっと残念でした。せめてゲーム中で使うときだけでも、リュート1本で弾けるようなアレンジバージョンを流してくれると面白かったのですが。
 音声は、先ほど書いた鳥居花音さんを始め、他社のゲームにも参加されてる方が肩を並べています。質としては申し分ないです。ただ、比較的男性の登場人物も多いのに、それらが音声なしというのが寂しかったです。

 シナリオは、いまいちです。ヒロインルートに分岐するまでは、イベントの累積などのフラグが全くカウントされておらず、そのため同じようなことを何度も説明しますし、全然会いに行っていないヒロインに最後の方に会いに行ったら唐突にそれっぽいイベントが起こったりしますし。この辺は細かく処理し出すとかなり大変というのはわかるんですが、逆に言うとこれらをしっかりやってないと面白い物にはならないと思うのです。
 また、ヒロインルートに入った後も、唐突に今まで触れられたこともなかった設定がひょっこり現れて、それのおかげですんなりハッピーエンドを迎えたりします。
 まあ、この辺までは割とどこにでもあるゲームの一つという感じで、ヒロインたちのキャラは気に入っていたので「まあまあかな」なんて思っていたのですが……全てのヒロインをクリアした後に、メインヒロインのレティシアのルートから分岐できるトゥルーエンドにはかなり幻滅しました。今までの唐突に現れる設定だけでも辟易していたのに、さらに壮大な、そしてどこにでもありそうな陳腐な設定が大々的に語られるのです。これのどこが「ファンタジックお姫様アドベンチャー」なのですか。人によっては面白いと思われたかもしれませんが、私には到底ついていける代物ではありませんでした。

 他の不満点は、全体的に妙に動作が重たい点でしょうか。メッセージスキップが遅いのもおそらくこの全体的な速度の遅さが影響してるのだと思います。

 1プレイの時間は共通部分を全部遊んで10時間程度、共通部分をスキップできれば3時間程度だと思います。
 ジャンルにもタイトルにも「お姫様」が含まれていますが、それほどレティシアから姫を感じませんでした。なので、その辺を期待する人にはあまりお勧めできません。というか、そもそもシナリオがいまいちなので、全体的にお勧めできません。かろうじて言えるのは、絵が気に入ってお目当てのヒロインだけ遊んでそれで満足できる人、でしょうか。

闇の声II

BLACK cyc BCYC-10911-10912 Windows95/98/Me/2000/XP版 痴態連鎖アドベンチャー
一押し:山形柚香
 カップリングシミュレータとして、キャラの変貌を楽しむゲームとして、かなり評価していた闇の声の続編です。前作が出た時点でバリエーションを増やして欲しいと思いつつ、そういう要望を満たして新作を作るのはかなり厳しいだろうな、と思っていたので、こうやって同システムを使った完全新作が出るとはうれしい限りです。

 前作のメンバーを完全に堕落させて、欲望にまみれた生活を送っていたKと小夜子。Kは小夜子に強く憧れ、彼女のような力を持ちたいと考える。小夜子はそれに応え、Kに「淫従のクロス」「カダスの花の種」「遠見の鏡」を渡す。クロスは、人の持つみだらな欲望を限界を超えて引き出す力を持ち、種は強力な媚薬、鏡は遠視の力を持っている。これらを使ってKは私立瑛光学園を、彼女の好きなように快楽の園にすることになる。瑛光学園は山奥にある全寮制の名門校。Kはこの学園でどのように力を振るい、どのように学園を堕落させるのだろうか。

 タイムリミットは20週。行動は1週間に2回できるので、ゲームとしては40ターンとなります。この制限時間内に、学園の6つのエリアを全て堕落させることが目的となります。一つのエリアには、二人(組)のターゲットが設定されていて、それに対応するサブキャラクタが1〜2人用意されています。これらのキャラ達は、Kか学園長をエリア探索に赴かせることで発見することができます。そして、発見したターゲットやサブキャラクタに、Kや学園長、それにすでに堕落させたターゲットを遭遇させることでターゲットの堕落度が進行していきます。ターゲットの堕落度がゲージいっぱいになると、イベントが起こり、そのターゲットが変貌します。こうなって初めてそのターゲットを手先として使用することができます。ターゲットを堕落させると、そのエリアに表示されていた他のターゲットやサブキャラは全て消えます。つまりターゲットは1エリア2人ですが、エリアの堕落の方向は1つしか選べないということです。そして、堕落したターゲットのゲージが再びいっぱいになると、またイベントが起こり、今度はそのエリアが堕落した事になります。Kや学園長他のキャラを操作するには力が必要になります。これは画面左下に表示されているろうそくの火の数で示されています。これは毎ターンはじめに5ずつ回復します。キャラの操作内容によって力の消費は違いますし、キャラの組み合わせによってゲージの上昇度は違ってくるので、よく考えて効率よく進める必要があります。そうして、時間内に全てのエリアを堕落させると、唯一Kの力が届かない存在だった、巫女である三田村静香とのイベントが発生し、彼女を支配し、エンディングとなります。また、ゲーム途中で進行度のチェックが入っており、進行が遅い場合は期間途中でも小夜子に呼び戻されてしまいます。
 ゲームシステムとしては、選択を越えての継続既読スキップ、ホイール対応読み戻し&読み戻し履歴からの音声再生、サムネイル付きの120カ所のどこでもセーブロードなど、全く申し分ないものです。また、このゲームはセーブデータのページ送り/戻しや、回想シーンのページ送り/戻しなどもホイールに対応していて、且つキーボードにも対応していて、操作に関してはかなり快適になっています。

 CGは、前作同様濃いめですが、エロというに相応しい感じのものが大量に用意されています。正確な枚数は、CGモードで各キャラ毎に重複して表示されるものがあるので、数えられないですが、かなりのものだと思います。
 音楽も、ゲームの雰囲気にあった怪しい感じのものが中心で、ゲームへの感情移入を削がないものとなっています。
 音声は、一部のキャラ以外はフルボイスとなっています。その一部のキャラというのが、一部の男性ターゲットキャラというのがちょっといまいちですね。まあ、「男の声なんぞいらん」という人も多いでしょうが、このゲームの場合性転換キャラとか、女装キャラなどは最初から音声付きなので、ちょっと違和感があります。声の質としては特に問題は感じませんでした。特にすっきりした声質で、凄いことを言いまくってるKの演技はかなり気に入りました。

 シナリオは……全体の流れとしては、エリアやターゲットが堕落するたびに挿入される、プレイヤーが関与していない部分での堕落がうまく描かれてました。個々のイベントに関しては、前作同様淫靡でいいのですが……システムの関係上、キャラの変貌を楽しむという部分にプレイヤーの意志が介在しなくなったのが勿体ないな、と。前作でも男キャラの堕落の方向性が1つしかないのがいまいちと評価していますが、今作は全員1つしかないですから。1エリアに二人ターゲットがいることで、エリアの堕落の方向性は二つということになりますが、これは前作のターゲットがエリアに起き変わった様な構成ながら、一人のキャラが二つの方向に、というのとは違ったアプローチです。一部のキャラのテキストでは、一人のキャラが二つの方向、というのを感じさせるものが残っていたので、もしかすると企画当初はこの人数全員に二つの方向が用意されていたのかもしれないのですが……
 あと、前作より堕落後のキャラの絵がケバいのばかりになった様な気がします。普段の見かけからして堕落したという風に見せたいのかもしれないのですが、もうちょっと控えめにしても良かったのではないかと思います。一押しに挙げた山形柚香などは比較的私の好みに適合した状態ですね。
 もう一つ、前作では堕落段階が2段階あって、中間段階だから起こるイベントというのも用意されていました。その辺がごっそりなくなっているのも勿体ない限りです。
 最後に、今作の最後の砦的な扱いの三田村静香ですが……前作準拠で最後には堕落したターゲットで彼女をどうこうするという様なイベントがあると思ったのですが、それどころか、彼女のその手のシーンすらなくて拍子抜けしました。比較的お話の中で大きな存在感があるだけに、この扱いは納得がいきませんでした。

 全体としては、前作に比べて横に広がった分、縦方向が縮まったという感じでしょうか。楽しめたと言えば楽しめたのですが、前作と比べると不満も多いです。
 1プレイの時間は、初回なら3〜4時間程度。最後の方でほとんどのテキストがスキップできるようになれば1時間程度でしょうか。
 いろいろ文句も書いたものの、結局全てのシーンを見るまでプレイしました。前作ファンとしては物足りない所もありますが、シリーズ未プレイなら是非プレイしてもらいたい作品です。とはいえ、今度ファンの要望に応えて、前作に+αした作品が再販されるというので、そちらを試す方がいいかもしれませんが。

初恋

ルーンソフト RUNE-011GAME/011DATA Windows98/Me/XP/2000版 恋愛アドベンチャー
一押し:高鷺花梨
 ぴヨナ☆ピコナリトルモニカ物語と個人的に非常に気に入ったソフトが続いたルーンソフトの、野々原幹氏原画ラインの新作です。今作は、今までの2作と違ってごく普通の世界を舞台にしたごく普通の恋愛物語を描いてくれるようです。

 主人公、初島稔(名前のみ変更可)は、聖桜館学園に通う二年生。のんびりした校風のこの学校で、同い年の妹や仲間達とごくごく普通に今まで過ごしてきた。そんな春先、仲間の中の二人、鎌田直矢と、加藤美木がつきあうことになり、そのことをみんなにお披露目した。そうしておおっぴらに仲良くする二人を見て、そういう関係にあこがれを抱く主人公。また、そんな頃から周りの女の子達が気になり始める。
 それは後で「初恋」として思い出す、大事な女の子との大事な思い出のきっかけ。

 ゲームはごくシンプルな選択型アドベンチャーです。日付の概念もはっきりしておらず、マップ移動などの要素もありません。ごくごくシンプルにシナリオが進行して、時折現れる選択肢で物語が分岐していく形になります。
 システムは、既読スキップや、ホイール対応読み戻しと履歴からの音声再生、ルートを示すアイコンと表示色を自分で変更できる20個のどこでもできるセーブロードなど、必要な機能はきっちり揃っています。良くを言えば選択肢を越えて既読スキップが有効であり続ければ便利だったのですが。他にはマウスカーソルの自動移動や、音声再生時にBGMのボリュームを下げたり、ホイールクリックに機能を割り当てたりすることも可能です。
 これらの画面デザインはいろいろ凝っていて見た目も楽しいのですが、ただ、よく使う既読スキップのアイコンなどが画面右下のアイコンをポイントしたときにエフェクト付きでなめらかに現れるというのは、ちょっと操作性が良くないな、と感じました。

 CGは、原画が好きなのももちろんですが、立ち絵が大きくて表情がたくさん用意されてることなども好感です。イベントCGの枚数自体はパターン違い含めず64枚と、ヒロインの人数(5人)の割には少なく感じますが、シナリオの長さを考えれば適当かと思います。
 音楽は、ストリングスやピアノを多用した、アコースティックな感じで、単体で聴ける、心地よい曲が多かったです。シンセ中心のポップスが使われていることの多い、このジャンルのゲームでは結構貴重なのではないでしょうか。オープニングで使われている佐藤裕美さんの歌も「初恋」というキーワードに合った、青く切ない感じが良かったです。
 音声は、脇役も含めて男女ともにフルボイス。声質演技等々は、全く問題なしです。特におざなりにされがちな脇役の方々も熱演しておられて、感情移入を削がれることがなかったです。

 シナリオは、はっきり言って想像していた物と全く違ってました。「初恋」というテーマで(はっきりとは明示されていませんが)義理の妹が攻略対象にいるのは、なんか違うよなあ、なんて思っていましたが、実は彼女のシナリオが一番「リアル」だったのです。ネタバレなので、保護色にしますが幽体離脱&タイムスリップ、前世の記憶、実は魂を吹き込まれた人形、某国のお姫様と、かなりファンタジーな内容ばかりです。これが初恋か、と言われると、まあひとそれぞれなんでそれもありかと思いますが、一般的に想像する「初恋」というイメージとは違うんじゃないかと思うのです。
 タイトルとの剥離は棚に上げるとして考えると。ファンタジー的な要素は適度に物語を盛り上げて、バランスよく構成されていたんじゃないかと思います。ただ、ちょっとぴヨナ☆ピコナやリトルモニカ物語の様に、ヒロインとの日常部分が少なくて、いわゆる「萌え」が足りなかったのではないかと思います。また、やはり前2作と比較して、ヒロイン同士の横の繋がりが薄い為に、せっかく存在している仲間がシナリオに絡んでこれずに勿体ないと感じたこともありました。
 Hシーンは、各ヒロイン2回ずつ。薄いヒロインが半脱ぎだったり制服だったりと、バリエーション豊かに見せてくれます。これらのシーンは「中に出す」「外に出す」でCG分岐があるのですが、これらがイベント回想で別々のカウントになっていて、ゲーム中でそれぞれを選択しないと回想シーンで見られないと言うのは、面倒なだけでいまいちそうする意図を感じられませんでした。

 不満点は、上に書いたとおり「見栄えの為に操作性が犠牲になっている部分がある」という事と、「前2作に比べると「萌え」足りない」という事がまずあります。そして、それ以外にシナリオの不満があります。それはゲーム中、非常に良いキャラである「西村陽子」という、ある意味主人公に一番近い所にいる「普通」の女の子がヒロインでないということです。一応、一人のヒロインのシナリオから分岐して、彼女のHシーン〜エンディング(ゲームオーバー)は用意されているのですが……それだけの扱いで終わらせるには非常に勿体ないキャラだと感じました。

 1プレイの時間は、ヒロインにもよりますが、10時間程度でしょうか。序盤の共通部分をスキップできても、個別ルートが長いので6〜8時間はかかると思います。
 絵が好きなら文句なくお勧めできると思います。ただ「初恋」というキーワードから一般的に想像される物を期待してる方には、お勧めできないですね。また、前2作が好きで、期待が大きくなりすぎてる方は、それをいったん忘れて、素直な気持ちでプレイすることをお勧めします。

結い橋

ういんどみる WMGCD-001A-C Windows95/98/2000/Me/XP版 アドベンチャー
一押し:有坂まつり
 元々大好きな絵描きさんが原画をしていて、しかも良く目にするパッケージイラストが巫女さんを大きく取り上げたものだというので注目していた作品なんですが、たまたまタイミングが合わずに買えなくて、その後掲示板で評判がいいのを見て改めて購入した作品です。

 主人公・高月一海(名前変更不可)は、要町という高台に社のそびえ立つ町に住む学生。「天使が降り立つところ」、そんなふれこみの社は、12年間そこから一歩も外に出てはいけないという制約を受けた巫女が一人で守っている。そして、彼女の任期の終わるそのとき、要町では祭りが行われるのだった。
 そんな祭りが近づいたある日。要町に季節はずれの雪が降る。それは、些細な出来事。だが、主人公とそれを取り巻くヒロインたちに取ってはこれから起こるいろいろな事象の前兆だった。
 義理の妹で、前の巫女であった義理の母の娘である未衣、喫茶店のマスターの娘、知絵、現在の巫女であるまつり、そして突然やってきたまつりの妹の詩奈。彼女たちとの12日間、どんな出来事が起こり、どんな結末を迎えるのだろうか。

 システムはシンプルな選択式のアドベンチャーです。上に書いたとおり、ゲーム期間は12日。毎日、1日ごとのサブタイトルが表示され、その内容でどのような進行をしているのかが予想できるようになっています。
 このゲームの特徴は、立ち絵をぴょこぴょこ動かすことでしょう。最近立ち絵をスライドさせて場に入ってきたとか、退場したというのを視覚的に見せる演出を使っているゲームも増えましたが、このゲームはそれを一歩突き詰めて、スキップしたり、「いやいや」を表現したりしています。視覚的には結構面白いのですが、繰り返しプレイするとこの移動をスキップできないために、メッセージスキップが阻害されるのがちょっと問題だと思いました。一応、シーンスキップなどでそれは回避できるのですが、特定のイベントだけみたいというような場合には使えません。
 システムとしては、固定式の既読スキップ、ホイール対応の読み戻し、シーンスキップ、未読位置まで進む、オートモード、前の選択肢まで戻るなど、なかなか充実しています。特に「前の選択肢まで戻る」は、気軽に選択肢を選んで反応を楽しむことができるので、イベントを楽しむのに有効でした。読み戻しの音声再生は自動。これは不要なときにはストレスの元になるのでできれば任意で再生できるようにして欲しいところです。セーブロードはどこでも可能でサムネイル付きです。
 あと、登場人物の音声がシーンでの配置にあわせてそれなりの位置から発生されるというのも面白いですね。気づかなければそれまでなんですが。

 CGは冒頭に書いたように、もともと好きな原画氏の絵であるというのがありますが、その絵をきっちり再現できてるのがまず感激です。他のゲームでは割と立ち絵とイベント絵の印象が違うと言うこともあるのですが、このゲームではそれもなく、しかも立ち絵のパターン数もたくさん用意されていて、かなり満足度が高いです。もちろん、イベント絵の塗りも良いですし、こちらもパターン違いがたくさん用意されていて、見応えがあります。
 音楽は、物語の雰囲気に合わせてしっとりとした物から、前半のコミカルなシーンにあわせた曲など、バリエーション豊かにそろえられています。
 音声は、ちょっと癖がありますね。とはいえ、プレイしていくうちに慣れる程度のものでした。また、サブキャラの出番も多いのですが、その辺もちゃんとフルボイスで、物語を盛り上げてくれました。

 シナリオは……正直なところ、いまいちでしょうか。最後までプレイしても、はっきりと種明かしされない部分が結構あって、消化不良に感じました。また、最初の数日の共通部分で物語の本筋の部分に触れられますが、これらはヒロインルートによっては全くその後に関わってこなかったりします。
 とはいえ、ヒロインを魅力的に描く為のコストは惜しんでいないので、個々のイベントは非常に楽しく、感情移入できました。私が求めていたのはそもそもこの原画氏の絵のキャラクタといちゃいちゃするものだったので、これだけで充分満足できました。

 不満点は、途中で書きましたが、メッセージスキップが演出の都合で引っかかること。他には、ヒロインルートの分岐がわかりにくかったり、同じヒロインを2回クリアしないと見られないイベントが用意されているようなところでしょうか。後者については、そのイベントを見せるためにシナリオが大幅に変わっている、要するに痕のトゥルー/ハッピーエンドの様にクリア順制御というだけならそれでもいいと思うのですが、このゲームの場合は本当にそのイベントが追加されただけなので。

 1プレイの時間は、音声が多いこともあって12〜15時間程度でしょうか。共通部分もそれほど長いわけではないので、2回目以降もそこそこ時間がかかります。
 絵が気に入ったならプレイする価値はあると思います。巫女さん度は……それほど高くないような気はしますが。
 今作は、元々限定本数販売だったのですが、評判を受けてか、この本編を丸ごと収めたリニューアル版+αが発売になります。これからプレイしてみようと思われる方はそちらを購入するのがいいでしょう。

ロケットの夏〜ROCKET SUMMER〜

TerraLunar Windows98/Me版 純愛アーカイブノベル
一押し:香奈城歩
 同ブランドのしすたぁエンジェルがいたく気に入ったのと、テーマと事前に公開された予告ムービーから、外さないだろうと予想しての購入です。

 かつてその街には「ロケットの夏」という季節があった。
 主人公「真幌高志(名前変更可能)」は、幼い頃自作ロケットに熱中し、天才少年として名をはせるほどだった。だが、地球の宇宙に対しての鎖国政策「シャットダウン」で、この街に「ロケットの夏」が訪れなくなった頃から、彼はそのロケットへの情熱を捨て、惰性のように平凡に埋もれるように過ごしてきた。
 そんなある日、高志は自作有人ロケット競技大会「50マイルズオーヴァー(FMO)」への出場を目指す女の子「千星」と出会う。情熱に対して実力がついて回らない彼女に成り行きでロケット制作のアドバイスを始める高志。FMOの為にロケット部を結成しようとする千星。次第に過去の情熱を取り戻す高志。ロケット部に集まった仲間。彼らは果たしてFMOに出場し、優勝することはできるのだろうか。

 と、そんな感じで、およそ恋愛ものっぽくないプロローグです。
 システムは、シンプルな選択肢選択で進行するアドベンチャーです。ウィンドウ右側には、読み戻しボタン、読み戻し時の順送りボタン、既読スキップボタン、終了ボタンが並んでいます。セーブロードは、メニューバーからの選択となっています。どこでも可能で、14個のスロットがあります。設定項目は、フォントの変更、フォントのアンチエイリアス設定の変更、文字表示速度の変更などです。システムも最低限ですね。とはいえ、高速な既読スキップとどこでもできるセーブロード、読み戻しがあればとりあえず困ることはないので、及第点だと言えましょう。
 ゲームは、一日の終わりで日付が表示される進行ですが、日付は順送りではなく不要な日にちはスキップして進行します。ヒロインのルートによって終わる日付は全然違ってきます。

 CGは、ちょっと立ち絵とイベント絵の差が大きいですね。立ち絵はシナリオ内容に合わせて表情豊かに描かれないといけないのですが、そういう誇張した表情を描くのが苦手なのでしょうか。それとも大きさが小さすぎて微妙なニュアンスが表現できなかったのでしょうか。いずれにせよ、ゲーム中一番長い間見続ける立ち絵がいまいちだと感じるのは勿体ないと思います。イベント絵は充分美しい仕上がりです。
 音楽は、かなりハイレベルです。平和な日常〜ドタバタしたロケット小屋の光景〜FMOでのロケット発射などのバリエーション豊かなシーンを、時にはさりげなく支えて、時には力強く盛り上げてくれます。
 音声は、今時珍しく全くありません。

 シナリオは、ヒロインのルート毎にかなり内容が異なってきます。FMOへの出場がもっとも重要視されてくるのが千星シナリオで、このシナリオは途中に千星の家庭環境などの重い要素も見えますが、非常に熱いシナリオでした。そしてシャットダウンの真実を描く歩シナリオは、陰鬱で重い、とにかく重いシナリオでした。元々このゲームの紹介から想像する内容は、千星シナリオだと思うので、これからプレイなさる方は彼女を一番に狙ってみて下さい。そして全く他のシナリオと趣の違う歩シナリオは一番最後にする様にすることをお勧めします。
 しすたぁエンジェルでは過剰なまでの物量投入で、演出効果が非常に高かったのですが、このゲームではそのような演出はほとんどありません。とはいえ、キャラに汗を流してみたり、画面の一部を注目させる為にマーカーを表示してみたりという、最低限のものはおさえていますし、効果音が効果的に使われている為に物足りないと感じることはありませんでした。

 不満点は、やはり立ち絵が弱いことでしょうかね。シナリオ、キャラ立ち、音楽は充分満足できました。ボリュームが少ないという意見も出てきそうですが、それは音声がない為だと考えます。既読スキップするとかなり待たされる共通部分の容量は音声付きならかなりヘビーなものだったのではないでしょうか。

 1プレイの時間は、初回で6時間程度。2回目以降は共通部分をスキップして1〜2時間程度です。
 ロケット打ち上げというキーワードに感ずるもののある人、ちゃんとした物語の読みたい人にはお勧めでしょう。アダルトソフトなのだから、相応にサービスシーンも必要だという方には物足りない内容だと思います。

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