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cyc CYC111022 Windows95/98/2000版 18禁 病院恋愛アドベンチャーゲーム
一押し:橘史絵
 新しいブランド「cyc」の処女作です。事前まで全くのノーチェックだったのですが、プログラマが私が学生の頃から知っている伝説級の方だというのを聞いて急遽購入しました。

 主人公(名前変更可能)は、トレーナーを目指す大学生。高校の頃はバスケットボールをやっていたが、とある事件による脚のけがが原因で挫折し、その時の恩師であるコーチの意思をくんでトレーナーを志した。その後もいろいろあって高校のときにつきあっていた彼女とも別れ、目標があやふやになってしまった頃、友人に「トレーナーになって何をしたいんだ?」と問われる。すぐに答えられず、それをぼんやり考えながら車を運転していると、突然目の前に女の子が。慌ててハンドルをきり、女の子をひく事は避けたが……そのまま主人公は意識を失う。気付くとそこは病院のベッドの上。女の子は無事だったようだが、主人公は骨折などの1ヶ月のけがを負った。1ヶ月間の病院生活。そこでの出会いは主人公に何をもたらすのか。また主人公と出会ったヒロインに何をもたらすのか。

 ゲーム期間は実は1ヶ月ではなく、その後の古傷の検査なども含めて約1ヶ月半くらいになります。2週間くらい経った時点でフラグが参照され、各ヒロインへのシナリオに分岐します。この時点でどのヒロインのルートにも進めない場合はゲームオーバーとなります。
 ゲームは、一日3回のマップ移動でヒロインと遭遇し、そこで会話モードで好感度を上げ、それに応じてイベントが起こるという様な形になります。マップ移動モードは、ほとんどの場合、移動先に誰がいるのかが表示されますので、この部分での難易度は高くないです。ただし、シナリオによってはヒロインだけではなく、サブキャラクタ等と会って会話しておかないとフラグが進まなくなったりするので要注意です。会話モードは、トゥルーラブストーリーのように話題を選択して、それに応じてヒロインの好感度が上下するというものです。ここでの多くの話題は、そのジャンルのあるものがヒロインは(好き、どちらでもない、嫌い)だが主人公はどうか、という物で、もちろんヒロインと同じ好みなら好感度が上がり、好みが反対なら好感度が下がります。ただし、このゲームのヒロイン達は密かに横に繋がっており、あるヒロインに対して「猫が好き」といったのに、別のヒロインに「猫が嫌い」と答えてしまうとたとえヒロインと好みが同じであっても好感度が下がってしまいます。ですので、ゲームを通して自分の好みを覚えていかないと、失敗してしまいます。また、この会話モードでは画面左端にゲージが表示されます。このゲージはヒロインの好感度をあらわしているのですが、同時にどれだけヒロインと会話が出来るかのゲージでもあります。要するに仲がよいほどたくさん会話が出来る訳ですね。話題にはレベルが3段階あり、ある程度仲良くならないと使えないものもあります。また、シナリオの進行状況に合わせて使えるようになる話題などもあります。また、この会話だけではなく、ときどきヒロインに好みのものを見繕ってあげないといけないことがあります。この時もヒロインに適切なものを選んであげると好感度が上昇します。もちろん、移動と会話だけではなく、重要な部分では選択肢も現れます。

 システムは、動きも多く派手な割に安定していて且つ快適に動きます。ゲームとしての使い勝手も、サムネイル付きのたくさんのセーブエリアや、ヒロイン達の好みなどの情報が順次埋まっていくプロフィール機能、高速なスキップなど、特殊なものはありませんが必要なものは揃っています。
 CGは、立ち絵、イベント絵だけでなく、ウィンドウ装飾なども含めて丁寧に書き込まれています。また、立ち絵が表示された時に背景にぼかしがかかって遠近をはっきりさせる処理はなかなか面白いですし効果的です。
 音楽も、インパクトは強くないものの物語への移入を疎外しない、良質のBGMと言えます。音声はヒロインのみフルボイスです。シナリオに関るサブキャラが多いので、できれば彼らの声も用意して欲しかった所です。声の演技やイメージは問題なしでした。

 シナリオは……主人公がヒロインを救う物語ではなく、主人公がヒロインに救われる物語でなく、主人公とヒロインがそれぞれを思って互いに救いあう物語、なんでしょうか。ですので、主人公がスーパーマンだったり奇跡が起こったりはしません。地に足の付いた物語だと言えるでしょう。「なんでお前が入院してるの」みたいなキャラはいませんし、看護婦さんも女医さんも至って普通です。ですが、丁寧にそれぞれのキャラや彼らの抱える問題を描いているおかげで、内容は普通より面白いです。
 ただ……上の導入にも書いてあるように主人公の名前は変更可能ですし、会話モードでたくさん話題に上る趣味嗜好の選択はプレイヤーの意のままです。ですが、主人公には過去から引きずっている大きな悩みや古傷など、プレイヤーの知らない問題を多々抱えています。これらはヒロインシナリオに分岐するまでに順次「夢」としてプレイヤーに伝えられるのですが、ここまで細かい設定があるのならいっそ主人公の名前も固定にして完全にキャラを作ってしまったほうがよかったのではと思います。そう思う原因は他に2点あって、一つは一部のCGで視点が引いたカメラ視点になっていることです。絵的にインパクトがあって良いのですが、どうも主人公に同化するというより主人公を見ている感が強くなってしまいます。もう一つは、モロばれになるのでちょっと保護色にします。最後に主人公は古傷の痛みの元となった悪性腫瘍が原因で必ず死んでしまうのですね。やはり自分の名前をつけたキャラクタが必ず死んでしまうというのはちょっと辛いです。エンディングとして、主人公が死んだ後も元気に(たくましく?)生きているヒロイン達の姿が描かれますが、やはり個人的には主人公とともに生きているヒロインを見たいです。せめてシナリオによっては主人公も寿命をまっとう出来ればよかったのですが。

 このゲームの特筆すべき点は画面演出です。いろいろな画面効果が取り入れられていて、それらがうまくシナリオと合わさって視覚的に非常に印象深いです。単純に画面をスライドさせるものから、花びら、雪(これらも他社の単純なものと違って非常に細かい動きをしています)、ラスタスクロール、スライドアニメーションなど。特にエンディングまぎわに美味しい演出が用意されていて、シナリオを盛り上げるのに一役かっています。。私が特に気に入ったのは、日下部緋沙子先生のエンディングまぎわのキスシーンですね。このシーンはカメラの引き具合とスライドアニメーションとシーンの切り替えが非常に小気味良く、アニメを見ているような気分にさせられました。

 シナリオへの不満は残りますが、他の部分は概ね合格点をあげられるかなりの出来のゲームです。バグらしいバグも見当たりませんでしたし、これからが楽しみなブランドです。
 1プレイの時間は5〜6時間程度でしょうか。一部のヒロインはオンリープレイではクリアできないので、難易度は結構高いです。とはいえ、見るべき所は多いゲームですので、絵が気に入ったなら一度プレイしてみてもいいのではないでしょうか。

8th Angel〜終末の天使〜

eye Windows95/98版 18禁 マルチエンディングADV
一押し:センカ
 E-LOGIN誌上の読者参加企画の同名タイトルが元になったゲームです。私はE-LOGINは毎月買っているのですが、この記事は実は全く読んでいませんでした。なのになぜ買ったのか、というと雑誌で見て絵を気に入っていたからなんですね。

 主人公(名前変更可能)は、エイサー王国の片田舎に妹のアイリと共に暮らす青年。数年前に母親を亡くしてからたった二人の家族だが、主人公は病弱な妹を守って生きてきた。この世界は、現在クリーチャーと呼ばれる正体不明の異形のものに侵略されつつある。この世界には、50年前にもやはり同じことが起こり、その時は7人の天使が降臨し人々と世界を救ったという伝説がある。人々はその伝説を信じて神の救いの手が差し伸べられる事を心のより所として生活していた。そんな中、つつましく暮らしていた主人公とアイリの下に国の使いであるミカエルがやってくる。彼女は、主人公を国王の息子である事を説明し、国の為に天使を率いてクリーチャーと戦う事を強いる。アイリが大事な主人公は彼女を一人残して城に入る事を拒むが、アイリの病気を国の力で治療するという交換条件を出され、それを受け入れる事にした。主人公はこの戦いに勝つことができるのか、第8の天使とは、アイリの病気は。さまざまな不安の中、運命の歯車は回りだす。

 ゲームは、基本的には会話中心で進行していくアドベンチャーです。ゲームの要所要所に、クリーチャーとの戦闘シーンが挿入されますが、これはちょっと特殊なシステムのRPG風戦闘になっています。
 会話シーンは、もちろん時折選択肢が現れ、その選択如何で物語が分岐したりフラグが立っていきます。戦闘シーンは、多くの場合出撃するメンバーを数名選択してからスタートします。フィールドは一直線になっていて、これのどこに味方・敵が存在しているのかは画面上部に常に表示されています。ユニットの移動力はこのフィールドを移動する数値です。攻撃の射程も同じで、RPGの戦闘の様に目の前にいる敵のみにしか攻撃ができないという訳ではありません。また、勝利条件と敗北条件があらかじめ提示されており、これを満たせば勝利・敗北になります。負けた場合はゲームオーバーになります。とはいえ、戦闘自体はそれほど難しくありません。
 E-LOGINの攻略記事によるとゲームは章ごとに区切られているのですが、実際は日付が示されその日づけによって○章であるという風に分類されています。

 システムは……ちょっと不親切です。メッセージウィンドウが消去不可ですし、メッセージの巻き戻しもありません。スキップはコントロールキーの押し下げで可能ですが、未読既読の判別はしてくれません。音声の個別オンオフみたいな気の効いた機能もあるんですが、基本的な所がなっていません。また1回エンディングを迎えるとシーンスキップのできるスキップ機能と、戦闘シーンで死ななくなる無敵モードが選択出来るようになります。個人的には無敵よりも戦闘をスキップできる機能が欲しかったです。それさえあればコンプまでプレイしたかもしれないのですが。
 CGは、ちょっと塗りが独特ですね。なんかイラストボードを取り込んだような雰囲気があります。原画自体は魅力的なんですが、そのせいでちょっと手抜き気味に見えてしまいます。また、ゲームのプレイ時間の割にイベントCGの枚数が少ないです。絵が気に入って購入した私としてはちょっと残念です。
 音楽はMIDIでの演奏のみとなっています。鳴らす機種を設定することもできませんので必然と無難な鳴り方しかしないことになります。曲自体も「鳴ってるなあ」、という感じでいまいち印象に残らなかったです。
 音声は、シナリオの内容もありますがかなり頑張っています。ただ、ちょっとキャラによって音量がかなり違っていて快適に聴けるボリュームの設定が難しかったです。セリアとメリース、センカあたりの差はかなり大きいですね。まあ、そのためにキャラ毎の音声のオンオフが出来るのかもしれませんが(笑)。

 シナリオは、かなり楽しめました。メインのストーリーは、エヴァンゲリオンに影響を受けている部分が多いので、またかと思われる方もいるかと思いますが、この話で出てきた設定はほとんどきっちり説明されますから、雰囲気だけ真似た物とはずいぶん違います。また、戦闘外の何でもない会話シーンなどがかなり書き込まれていて、声優さん達の演技もあり、かなりキャラの個性が掘り下げられています。会話のテンポもよく、笑わせる所も的確でかなり気に入りました。ただ、全編通してコメディという訳ではないのに、シリアスになって然るべき所でギャグを続けてしまうという様なところがあったのが残念です。
 また、主人公もシナリオ上かなりの秘密が隠されているのですが、その辺の記憶は当初完全に忘れており、それ以外の知っていて当たり前のエイサー王国の事についても不勉強な為に全く知らないという形になっている為に、プレイヤーと主人公の情報格差がほとんどなくなっています。不勉強だからといって、不真面目なのかというとそうではなく、例えば学校に行かない理由は親の残してくれたお金は妹の将来の為に残すので、今を生活するお金を得る為にバイトするということであったりとかなり「いい奴」です。

 と、シナリオはかなり気に入ったのですが、システムが弱い事、CGが少ない事、リプレイ時に戦闘シーンがスキップできないことなどのため、誉めにくいです。私が全員クリアしていないというのもあるのですが、全員クリアしようと思うだけのシナリオをシステムがだいなしにしているという感じです。改めて整理してみるとそれほどひどいシステムという訳ではないのですが、シナリオの長大さに似合わないといいましょうか。

 プレイ時間は台詞を全部聞いていると20時間位かかるでしょうか。お薦めは……難しいですね。絵が好きな人だとCGの少なさに失望しそうですし、シナリオや会話のテンポはプレイしてみないとわかりませんし。ファンタジー世界で王子様になってみたい人、でしょうか(笑)。あ、妹キャラが好きな人にもお薦めできます(笑)。ちなみに、一押しはセンカという、主人公の押しかけ許嫁にしていますが、他にも前述の妹のアイリやトリシア、セラなんかもお気に入りです。他のキャラも印象深いですし、この辺はさすがに先に読者参加企画でキャラが確立されているだけありますね。

 書くのを忘れてましたが、Hシーンは相当薄いのでそちらを期待して購入するのは避けた方が無難です。Hのあるギャルゲーというレベルですね。

神詩

BLACK PACKAGE Windows95/98/2000版 18禁 恋愛育成シミュレーション
一押し:榊千夏
 ウェブでの紹介記事を見て、ヒロインの一人(木花莉乃)があまりにもナコルルに似すぎている為に、内容如何を問わずに購入予定に入れてしまったゲームです。

 漆黒の深遠に沈んでゆく意識。果てない不可視の世界に、音なく墜ちる。何かの慣性に従い、それから外れることはない。ただ、真っ直ぐに引き込まれていく。暗闇の中に、浮かび上がる情景。その中に累々と転がる無数の肢体。うつろに虚空を見つめる瞳。「一体どうしたの?」『どうして、こうなってしまったんだ』「何が起きたというの?」『回避することはできたはずなのに』僕の思考とは別にもう一つの声が響く。後悔に囚われた思念が、僕に伝わってくる。果たしてそれは、僕に告げられたものなのか。それとも・・・(マニュアルからの抜粋)
 主人公(名前変更可能)は幼い頃から今までずっと実家の神社を継ぐ為の修行に追われ、最近ではすっかりその事に抵抗する事もあきらめてしまっている学生。ある朝、主人公は義妹の愛希に起こされ、自分を呼んでいるという従姉の深青の元へ向かう。彼女も神社の為に修行をしてきた人間。留守にしている父のかわりに主人公の修行を見る事になったという。彼女から言い渡された修行の内容は、主人公と同じ学校に通う3人の女の子の「心の澱み(悩み)」を取り除くこと。学校の保険医を務める深青の手引きで彼女たちと出会った主人公。施術を進行させやすくする為に彼女たちとの繋がりを深めていく主人公。施術が終わった時、主人公と彼女たちはどうなるのか。

 ゲーム期間は特に提示されませんが、実際は5/10〜7/19までです。一日は基本的に移動シーンと施術シーンに別れます。イベントの進行具合によってそれらの間にイベントが挟まることもあります。移動シーンは、移動回数が3回と制限されていますが、移動先は6ヶ所でそれぞれのヒロインがいる場所は2ヶ所ずつに別れていますのでヒロインと遭遇することは難しくありません。ここではヒロインと会えてもちょっとした会話ができるだけです。3回の移動が終わると、深青のいる保健室に移動しそこで今日施術を行うヒロインを決めます。ここでの選択は、今日の移動シーンもしくはイベントで会う事のできたヒロインのみです。ちなみに、この施術できるフラグが立つとその日は移動シーンには登場しなくなります。ですので、場合によっては移動シーンで誰にも会えないというようなこともありえます。
 施術シーンは、カードを使ったゲームになっています。ヒロインには位階というパラメタがあり、これはこの施術シーンで五芒星の頂点をあらわす各パラメタを全て90以上にする事で1上昇します。また、ヒロインには耐久度というパラメタもあり、これは主人公が施術の札を使うごとに一定量ずつ減少します。これが0になるとその日の施術は終了になってしまいます。また、位階を上昇させることができてもその日は終了します。施術に使う札は、五芒星の頂点にあたる属性をそれぞれ持っており、対応する属性の場所に札を使う事でそのパラメタを上昇させることができます。この時五芒星の反対側にあたる二つのパラメタは少しずつ減少してしまいます。札は、レベルがありレベルの高い札ほど効果は高くなります。札は基本的に消耗品ですが、レベル1の5種類はどんどん増えるので足りなくなるということはありません。また札は日曜日に2種類を合成する事で作成することができます。4つのスロットに2枚ずつの札をセットすると翌週の日曜にそれらが合成されます。この時失敗する事もありますが、完成すればよりレベルの高い札が生成されます。また、3レベルの札同士を合成した場合は特殊な効果を持った札が出来ます。非常に効果的なものもあるのですが、成功率は低いですし出来る枚数も少ないです。ただ、これらの札を作成できなくともクリアに支障はありません。
 そうして、ヒロインに施術を繰り返し位階を高めていくのが目的です。位階の上昇に伴ってヒロインと主人公は仲良くなっていき、順次イベントが起こっていきます。

 システムは、施術シーンも含めて前作のチャットしようよ!とほとんど同じです。未読既読管理がしっかりしているので繰り返しプレイも楽々でした。
 CGは、ヒロイン5人に対して54枚です。前述のチャットしようよ!に比べると一人のヒロインへの割り当てが増えています。サブヒロインである義妹や従姉、特に後者はCG枚数がかなり少ないのですが、その分メインヒロインは20枚弱とそこそこ枚数となっています。ただ、チャットしようよ!に比べてCG枚数自体は半減していますので満足度は低いです。同じ枚数で、今の人数のヒロインだったら良かったんですが。絵自体は充分美しいと感じました。
 音楽もチャットしようよ!同様、3種類から選択できます。感想も同じ感じですね。
 音声は、ヒロインのイメージにそれぞれ適合していてかなりいい感じです。莉乃のヒロイン然とした声、千夏のスポーツ少女っぽいちょっとハスキーな声、葛葉の感情を抑えた声、どれも良かったです。

 シナリオは……まずテキストがダメです。主人公が幼い頃から修行に追われて遊んだことがない、友達もいないというような人間であるからなのかもしれませんが、どうにも主人公の話す言葉が拙いです。なのに、その主人公の設定はいまいち活かされていません。それ以外の施術や家などの設定もいまいち有効に活用されていません。一部のシナリオなどは、ヒロインを施術で洗脳して主人公を好きにさせているのではないかと疑ってしまうくらい説明不足でしたし。ヒロインの数は少ないのですが、彼女たちとの対話も少なく、絵的に魅力的な彼女たちをテキストでフォローする事ができていません。この辺は逆にコレでもかというくらいチャットやメールでやりとりをしてヒロイン達の個性、性格を見せてくれたチャットしようよ!とは正反対といえます。個人的な意見を言わせてもらうと、このゲームのメインヒロイン3人よりもまだチャットしようよ!のエンディングのないヒロインの一部の方が魅力的だと感じました。また、イベントはヒロインの施術の進行に合わせて起こるのですが、そのために大急ぎでプレイすると日付にそぐわないイベント(テキスト)が出現する事もいくつかありました。

 このゲームの施術シーンは非常に簡単で、チャットしようよ!に比べると難易度は低いのですが、それ以外の部分はことごとくチャットしようよ!に負けているように感じます。あちらにはストーリーらしきストーリーはないのですが、何かありそうなこちらにも実はありませんでした。前述したマニュアルからの抜粋部分から、infinityの様な展開が待っているのかと思ったのですが、最後までオープニングの血を流しているヒロイン達の絵に関係するようなイベントは起こりませんでした。

 絵に惹かれて買ったのですが、本当に絵しかなかったという感じでした。プレイ時間は音声をちゃんと聞いても4〜5時間程度です。絵が気に入って、内容が薄くてもいい人にはお薦めですかね。Hシーンはメインヒロインには2〜3回用意されています。
 一押しは購入動機から行くと木花莉乃ちゃんになりそうなものなのですが、シナリオでちょっと感ずる所があった榊千夏ちゃんになりました。私としては珍しいショートカットのスポーツ少女です。料理が上手い事とか、Hシーンのやりとりが美味しかったとか、そのへんがポイントですかね。

おまかせ☆でまかせ え〜んじぇる!!〜ショコラとミルフィー祝福しちゃうぞっ〜

Triangle Windows95/98版 18禁 アドベンチャー
一押し:ミルフィ
 お気に入りブランドの新作です。いつの間にかこのトライアングルというブランドは、同じ名前で再編されたみたいですね。今までお馴染みだったSMMAという型番も付いていませんし、アンケートかガキの送付先も変わっていました。ただ再編といっても、販売会社を通さないようになったというだけみたいなので、内容については期待できそうです。

 主人公(名前変更可能)は大学に通うごく普通の学生。現在同じ学園に通う前川こずえに片思い中である。ある日主人公はHで不思議な夢を見る。それは前川さんとHな事をする夢だったはずなのに、いつの間にか前川さんが見知らぬ女の子にかわり、さらに別の女の子にかわるという夢だった。その生々しさに飛び起きてみるとなんと横に先程の夢に乱入してきた二人が寝ていた。それも夢だと信じ、そのまま再び眠りにつく主人公。翌日目を覚ますと、そこには夢に見た女の子達は居らず……と安心していると、どこからともなく彼女たちの声が聞こえる。探してみるとなんとそこには小さくなった彼女たちがいたのだった。落ちこぼれ天使ショコラと天使になりたい悪魔ミルフィ。彼女たちは、主人公を幸せにする事でいずれかが天使になり、もう一人が落ちこぼれるのだという。彼女たちの作戦や魔法で主人公と前川こずえは結ばれるのか、そしてショコラとミルフィはどちらが天使になれるのか。

 ゲームはときどき示される2択の選択肢を選ぶ事で進んでいくアドベンチャーです。システム的には、え〜んじぇる!!の頃からいまいち進歩していません。当初は割と便利だと思っていたのですが、そろそろまわりのレベルが上がってきた為か、見劣りするようになってきました。まず、メッセージスキップが左クリックメニューからしか選択できませんし、これが「メッセージ消去」と並んでいて、迂闊に選択しがちです。なのに、メッセージ巻き戻し機能はありません。また、未読既読の判別もありません。そろそろこういった部分の改善も行ってもらいたいものです。とはいえ、動作自体は軽快で不具合もないんですが。
 CGは、フェイスウィンドウの顔がちょっとデフォルメ気味なのが残念です。1枚絵は今までの同ブランド作品にあったようなシーンによって別人に見えるという事はありません。塗りなども安定していると思います。
 音楽は、MIDIのみです。曲自体はBGMとして悪くない出来だと思いますが、ちょっと使い方が良くない部分があったのが辛いです。どこかというと「最後の作戦」での、バイオリン/ハープの音が鳴る所なんですが、ここはこのシナリオが進行している間はそれぞれの楽器の音が鳴りっぱなしになっている方が自然だったと思います。
 音声は、トライアングルらしくハイレベルです。ショコラとミルフィの掛け合いもノリノリで、かなりテンポ良く進行します。また、今作もヒロイン達によるWindows用システムボイスが収録されています。登録も試聴してからボタン一発で処理できるようになっています。

 シナリオは……楽しめましたが、ありがちな感じですね。まあ、私はここのゲームに奇を衒ったものを要求している訳ではないので、満足です。ただ、前作にあたるえ〜んじぇる!!よりも遥かにボリュームが少なくなっています。実に半分以下ではないでしょうか。もちろん、プレイ時間の割には密度の高い内容だったのですが、前作は同じ密度で倍以上の分量があった訳なので、ちょっと残念です。
 あと、ヒロイン毎のシナリオの分岐が弱く、特にショコラとミルフィのエンディングは本当にキャラが入れ代わっただけの様なものになっています。今の立場こそ似ていますが、天使と悪魔なんですからもうちょっと違った展開が用意されていてもよかったのではないかと思います。

 このゲームも前作同様重要じゃないのですが、アニパロ要素が含まれています。まず、ショコラとミルフィ、前川こずえの容貌は、臣士魔法劇場リスキー☆セフティに登場したキャラ達に類似しています。また、ショコラとミルフィが使う呪文の中の「オープン・ザ・ゲート」と「ア〜クション!」というのは多分前者がゲートキーパーズ、後者がTHE BIG-Oから取ってるんでしょうね。どれも知ってたらにやりとさせられるというだけで、知らなくとも問題はない程度の扱いです。
 知っていると楽しめるという意味では、前作関連の要素もあります。ショコラとミルフィの試験官となる天使シャーリーは、前作の主人公の恋人です。また、前作の主人公もちょっとだけ登場します。これも知らなくても別についていけないというような要素ではないのです。

 1プレイの時間は、3〜4時間程度です。音声での見事な掛け合いと、プレイ時間の割にイベント密度が高いおかげで楽しめました。とはいえ、同じスタッフのさらにボリュームのある物語をすでに見ている為に、ちょっと不満もあります。でも基本的にはこの路線で、今度は操作系を進化させて欲しいですね。
 お手軽な音声つきのHコメディが楽しみたいという人にはお薦めできると思います。

 ショコラとミルフィのエンディングやそれに関連するCG、シーンを集めるのは簡単なんですが、前川こずえのエンディングを見るのがちょっと面倒だったので、そのメモを公開しておきます。悩みたくない人、困った人は参照してください。

ペンシラー☆カナ

Ripe Windows95/98版 18禁 アドベンチャー
一押し:雨月めろん
 前作「すいーとじぇみに〜僕の妹〜」で気に入った原画さんを起用した作品です。Hゲーム会社を舞台にした変身少女物、なんでしょうか。

 主人公「浅生鼎」はHゲーム会社「Ripe」の原画マン。いつものように仕事に追われて原画を書きまくるある日。とにかく一息つこうとコンビニおにぎりを取り出した直後、鼎の目の前が歪みそこから謎の物体が飛び出して鼎に激突します。鼎が目を覚ますと、そこには背中に大きな羽のある手のひらサイズの人間のような生き物がおにぎりを食べてしまっています。彼女はモナモナと名乗り、鼎が小さな女の子になっている事を指摘します。それほど動じず、その時一緒に仕事をしていたシナリオライターの犬柳くらげに相談すると……コスプレが好きなグラフィッカーの佐藤ぷりんが衣装を用意し、鼎の事はこの姿の間は「ペンシラーカナ」と呼ぶことに決まったのでした。こんな非日常的な出来事が起こっても締め切りは変わらない。ということで、この姿のまま日夜原画に取り組む羽目になるのでした。

 ゲームのプレイ期間は、28日間です。その間、カナは友人と同居していた自宅に帰る事ができないので、会社の同僚女性宅を転々とする事になります。
 一日は、朝食から始まります。出社中の時間は1時間単位に区切られていて、その区切りごとに裏返った6枚のカードのうち1枚を選ぶ事で、その時間の行動を決定します。ここのカードの内容は「しごと」「おやつ」「うちあわせ」「☆」のいずれかです。「しごと」の場合は、ラフか原画か影指定かを選択して仕事を進めます。それぞれ2、3、1時間を消費します。マニュアルによると仕事の達成率如何でイベントが起こるということです。「おやつ」の場合は、6枚のカードによる神経衰弱のミニゲームが発生します。2回ミスをすると失敗ですが、成功するとモナモナから秘蔵のHな写真を見せてもらえます。「うちあわせ」は一緒に仕事をしている誰かを選んで会話するモードです。「☆」は、それら以外のいろいろなイベントが発生します。12時、15時、19時になるとモナモナがコンビニに連れていく事を要求しますので、コンビニに食事を買いに出かけます。コンビニは4店のうちから1店を選んで、そこで3種類の食べ物を買う事になります。この選んだ食べ物に対してモナモナが評価を下します。これがゲームにどういう影響を与えているかは不明ですが、前作では何気ないおやつの選択が攻略の重要キーだったので、今回も何かあると思われます。
 こうして28日間を過ごします。

 私が聞いた話だと、このゲームは今時珍しいマルチエンディングでないゲームなんだそうです。確かに1回目のプレイ結果を見ると他のエンディングに流れそうな雰囲気はありません。ですので、ゲーム中も仕事中の行動を選ぶだけで、特に攻略要素もなく淡々と進んでいきます。
 お話しとしては、日中の仕事場でのカナと同僚の交流やセクハラなどのコメディ面と、カナの見る夢を中心とした物語の根幹に関るシリアス面があります。ですが、前述したようにエンディングが一つしかない上に、プレイヤーの操作できる部分がそれらと直接関らない部分なので「見せられている」感が非常に強いです。特に後者は、原画や設定から想像できるイメージからかけ離れた、ある意味独り善がりな物語が勝手に展開しますので、置いてけぼりにされたような印象があります。
 また、たった一つのエンディングでは、鼎が小さな女の子になってしまった事も、カナがHゲームの原画マンであることも関係なく終わってしまいます。何を伝えたいのか、どこが面白いのか、そういう所が絞りきれていないので非常に散漫です。
 個人的には、鼎が小さな女の子になってしまった事に、全く動じず楽しんで受け入れる会社同僚と、彼女たちのカナへのセクハラなどを描いた日常部分は結構面白かったのですが、それについてのオチが全くなかったのが不満です。

 システムは、前作と同様でバックログや既読判定はないです。設定出来る項目も少なく、なんと音関連はサウンドのオン/オフしかありません。これをオフにすると音声と音楽が同時に出力されなくなります。音声だけオフという操作はできないのです。
 CGは非常に美しいです。前作で感じた立ちキャラの違和感も立ちキャラが少ないせいか、特に感じませんでした。枚数も149枚と結構多いですし、シーンによっては目ぱち程度のアニメーションもあります。
 音声は、パッケージによると前作の3倍のボリュームだということで、CD-ROMも2枚組みですし、フルインストールが1GBですし。確かにボリュームは凄いのかもしれませんが、質がいまいち、いやいまさんくらいかもしれません。全員がダメという訳じゃないのですが、メインであるカナの声がどうにも馴染めなくて、プレイ後1時間程度で音声(サウンド)をオフにしてしまいました。
 音楽は、上記の関連でほとんど聞いてません。パッケージによると歌も入ってるらしいのですが、聞いてません。

 ゲーム雑誌やインターネット上のメールマガジンなどが実名で登場したり、前作のヒロインである眞穂と華穂が堂々とゲームに割り込んで登場したりと、どうも内輪受けな雰囲気が漂っています。そもそも、カナの勤務している会社の名前が同ブランドの名前そのままですし。シナリオの内容や音声も含めて、かなり自己満足が強いのではないのでしょうか。
 前作や今作を見る限り日常を描くことは決して下手ではないのですし、CGの魅力はすばらしいのですから、変に欲張らずに組み立てて欲しかった所です。

 総プレイ時間は、7〜8時間程度です。これは上記のとおり、音声を一切聞いていない場合ですので、聞いた場合は1.5倍以上はかかるのではないかと思います。お薦めは……絵が気に入ったら物語に置いてけぼりにされても平気な人、でしょうか。あと、登場人物の構成上、基本的に女の子同士のHばかりなので、そのへんがダメな人はパスした方がいいでしょう。もちろん、そういうのが好きな人でCGが気に入った人ならプレイしてみる価値もあるでしょう。私はダメでしたが、音声も人によっては「癖になる」らしいですから、興味のある方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

きゃんきゃんバニー6・i mail

カクテルソフト F&C-140,141,146 Windows95/98/2000版 18禁 ナンパシミュレーション
一押し:榊亜実
 私の大好きなきゃんきゃんバニーシリーズがとうとう復活しました。プルミエール、エクストラに続くスワティ編という訳ではないのですが、このシリーズを銘打ってるということはそれなりの覚悟を持って作られているのだろうと期待しての購入です。

 主人公(名前変更可能)は24歳の大学生。一浪一留してなんとか今年卒業予定である。就職活動の努力の末、なんとか内定をもらい、残りの大学生活を楽しむぞと思い、今まで欲しかったが高くて手を出せなかった携帯端末情報伝達装置、通称「モバイル」を購入する。その機種は主人公が大好きなアイドル「榊亜実」の宣伝している最新機種で、ちょうど彼女のポスターのプレゼントキャンペーンをやっていた。それに対して所定の葉書では飽き足らず、熱烈な「くれくれメール」を出した主人公。数日後主人公の元にお目当てのポスターとともに、1枚のCD-ROMが届く。そのCD-ROMをインストールした主人公の前に現れたのは、可愛らしい少女の姿をしたアプリケーションだった。完全に人間と同じように対話する彼女は自分を「モバイルナビゲーションコミュニケーター」の「モナコ」と名乗った。彼女のデータ収集と主人公の実益をかねて女の子との出会いを求めて街に繰り出す二人。彼女の試用期間である20日後までに主人公は大事な人を見付けることができるでしょうか。

 上記の導入にはモナコの試用期間は20日となっていますが、ゲームが始まると強制的にヒロイン達との出会いで数日が過ぎて、実際のプレイ期間は5月10日から24日までの15日間となります。主人公は内定の決まった大学4回生ということで、基本的に暇なのですがアルバイトをしたりレポートをしたりという用事の為に一日の行動時間は10時から18時までになります。
 一日はモナコに朝起こされる所から始まり、その後、モナコのメールチェック〜移動を1時間ごとに繰り返します。女の子からのメールには返事を返すことができます。女の子とデートできない期間の場合は、3種類の文面から一つを選んで返信します。また、自分からデートのお誘いメールを出すことができます。これはこちらから日時を指定しますが、もちろんヒロインの都合が合わなければ断られます。「移動」はデートの約束があった場合は駅前(待ち合わせ場所)にしか移動できなくなります。それ以外の場合は、任意の場所に移動できます。もちろん移動先でヒロイン達と遭遇することもありますが、基本的にここで遭遇できてもちょっとした会話を交わせるのみです。ですので、血眼になってヒロインの居場所を探さないといけないということはありません。また、このタイミングでヒロインから電話がかかってくることがあります。事前には誰からの電話かわからないのですが、電話に出るか出ないかを選択できます。このタイミングはデートでも同じで、ヒロインとの会話が盛り上がった時(もしくは今にもベッドインしようとした時)に電話がかかってくる事もあります。この場合、電話を取らなければ目の前のヒロインに嫌われることはないのですが、もちろん電話を受けてもらえなかったヒロインの好感度は下がるでしょう。
 話は前後してデートですが、基本的には駅前でヒロインと会った後、街のどこにいくかを決めます。もちろん、他のヒロイン達も街にいる訳ですから、迂闊に遭遇してしまうとピンチです。また、場所によってはイベントが見られるかもしれません。そして、ヒロインとの会話が進み3択の選択肢が表示されます。この返答如何で好感度が上下するのでしょう。他に特定の回数目のデートの場合は、移動先を選べずに自動で進行します。この場合は大抵大きなイベントが起こります。
 主人公にはバイタリティというパラメタがあり、ヒロインとHするとこれが減少します。このパラメタはゲーム通して回復しません。といっても、全員攻略可能状態のセーブデータを作って、そこから一人のヒロインのエンディングを見る事が可能な最大値になっているので特に障害ではありません。ヒロインには、多分目に見えませんが好感度が設定されています。ただ、このゲームの場合デート回数による強制イベントで大幅に好感度が上がると思われるので、それほどシビアに考えなくても大丈夫です。パラメタとは違いますが、彼女たちのプロフィールがモバイルに記述されていくのですが、これを埋めていくのもゲームの楽しみの一つです。
 「それほど気にしなくてよい」とか「障害ではない」とか、じゃあこのゲームのどこが難しいのか、というと、それはデートのスケジューリングです。基本的にメールで約束しますから、例えば11時に待ち合わせようというメールを10時に出した場合、ヒロインがメールチェックするのが12時だった場合は無駄になってしまう訳です。もちろん、ちゃんと時間までに読まれていても都合が悪ければ断られます。ヒロイン達はプレイヤーが行動できる時間帯には2ヶ所くらいしか暇な時間がありません。これをうまく探り当てるのがこのゲームのポイントです。といっても基本は手探りですが。一度デートすると翌日の暇な時間は聞き出せますので、その後はイベントでデートが途切れない限りさくさく進みます。
 このように、スケジューリングもオンリープレイならそれほど難しくないのですが、このゲームにはエクストラモードというのが存在し、そのモードを起動するには1回のプレイですべてのヒロインと仲良くならなければならないのです。そうなるとプレイヤーの行動できる時間が8時間、ヒロインが8人と、かなりシビアなスケジューリングが要求されます。

 システムはちょっと重いです。派手な効果を出しているから重くなっているのですが、一部の演出は設定でオフに出来ないのでちょっと辛いです。特筆すべきなのは、画面の右下で常に動きつづけるモナコムービーでしょう。3Dをセルシェーディングしたモナコがくるくると表情豊かに動いてくれます。表情も動きも非常に可愛らしいです。状況に応じていろいろなムービーが用意されています。絵的には非常に良いのですが……このムービーの切り替え時に操作が効かない時間があって、これがかなりストレスがたまります。というのも、かなり頻繁にムービーが切り替わるからなんですが。プレイ時間がもともと長いこともあって、最終的にはモナコムービーをオフにしたままプレイしていました。気に入っただけにちょっともったいないと思うのですが。
 他には、お馴染みの機種ごとに用意されたMIDI音楽や、オートセーブ機能等があります。セーブ機能は最近多くなってきたコメント入力型なんですが、セーブファイルがこのコメントでソートされてしまうのはちょっと困りました。あとは、メッセージスキップのトグルが設定メニューにあって、これを開かない限り切り替えできないというのもちょっと困りました。

 CGは、原画屋さんが二人ということで、明らかに瞳の描き方の違うキャラが混ざっていますが、基本的に同時に登場しませんし、それほど違和感を感じませんでした。塗り自体はF&Cらしく明るく美しい塗りです。背景や、ウィンドウ枠などの目立たない所もしっかり描き込まれていてこだわりを感じます。上で書いたモナコの3Dムービーも非常に良いです。
 音楽は、おおくまけんいち氏の作曲という事ですが……確かコンシューマ版の同級生の歌とか作った方でしたっけ。ともかく、ポップなテーマソングやそれをベースにした曲、キャラ別のテーマ曲等もなかなか印象深いフレーズが多くて久々に「曲とキャラが一致する」レベルでした。もちろん、キャラの雰囲気と曲がマッチしているというのも大きいのですが。
 音声も、F&Cのおなじみの方々は全く参加されていないものの、ハイレベルでかなり楽しんで聞けました。

 シナリオは、ヒロイン同士の横の繋がりはなく、全くの一対一(一体八?)の物語です。それ程大きくはないものの、ヒロイン達はそれぞれ何らかの問題やコンプレックスを持っており、主人公と一緒にいる事でそれを克服して幸せになるという、基本をおさえた構成になっています。ヒロイン達の個性は、デート中の会話だけでなく、暇な時にかけてくる電話やなにげないメールなどでかなり多くの情報が提供されますので、それぞれしっかり立っています。また、これらの内容も主人公との関係に応じて少しずつ文面や受け答えが変わったりしますので、興醒めすることがありません。この辺をちゃんと作り込んでいるのはさすがですね。ただ、残念なのはエンディングが非常にあっさりしている事でしょうか。きゃんきゃんバニーエクストラの様に、エンディング後にさらに主人公とヒロインのその後を描くという所までは要求しませんが、せめてデート1個分くらいのテキストを費やして現状を教えて欲しかった所です。
 また、上にちらっと書いたエクストラモードですが……これは、(プレイ進行によっては)モナコがヒロインとして登場するモードです。モナコが登場するのは、最終日になってからなのでそれ以前はほとんどノーマルモードと変わりません。エクストラモードを出す為に、全員同時攻略をしなければならないのに、モナコシナリオを見る為にもう一度全く同じ事をしないといけないのはあまりにも辛いです。そのくせ、モナコシナリオはかなり短く説明不足で終わっちゃいますし。このモードの扱いについてはちょっと不満です。

 1回のプレイ時間は真面目に音声を聞いていたら30時間くらいでしょうか。モナコムービーをオフにして、音声をがんがんスキップしても8時間くらいはかかりました。モナコも含めてすべてのヒロインがちゃんと描かれていてお気に入りです。このタイトルが発表された時は、最近のF&Cのゲームのレベルを考えてちょっと心配だったのですが、充分きゃんバニの看板を背負って立てる作品にしあがっていると思います。お薦めは……明るい恋愛物が好きな人でゲームがちょっとくらい難しくても頑張れる人、店頭で結構流れているモナコが跳ねまくるオープニングムービーを気に入った人(笑)くらいでしょうか。まあ、難易度が高めな事とシステムが重めな事と、問題はありますが、ある程度万人受けするタイトルではないかと思います。

かてきょ〜明るく楽しく濃くエッチ〜

Melody MER-012 Windows95/98版 18禁 Hおべんきょアドベンチャー
一押し:はるか
 メーカーサイトの紹介文を見て、そのノリに微熱情熱SPARK!などと同じものを感じたので注目していたゲームです。

 主人公(名前入力可能)は、恋人が欲しい。いわゆる巨根の彼は風俗に行くと女の子に喜ばれたりはするが、そういうのとは違う、人生も語り合えてエッチもばりばり出来る、そんな理想の恋人がほしいのであった。そんな恋人が落ちてないかな、そんな考えが恋人ができない原因の一端であることは理解しつつも。ある時、孤独に街を歩いている主人公の顔に風に流された1枚のチラシが張りつく。そのチラシには『恋人ごっこしませんか』というキャッチコピーとともに怪しげな「愛の教育システム・かてきょセンター」の案内が記されていた。イメクラではありませんと書きながら、出張イメクラとしか考えられないその内容に怪しいと思いながらも、主人公はかてきょセンターに連絡してしまうのでした。

 ゲーム期間は6日間です。朝起きるとまず主人公は自宅のポストを確認します。大抵はしょうもないものが入っているだけなのですが、ときどき攻略に有用な情報が書かれているかてきょセンターからの手紙が入っていることもあります。その後行動選択になります。ここでは授業を受けるかサボるか、2回目以降のプレイならさらにCGモードと音楽モードが選択できます。ゲームとしての選択は授業を受けるか否かしかないということですね。授業を受けるを選ぶと、現在受講可能な授業が一覧されます。どのタイトルがどの先生の授業なのかは選択をすれば教えてくれますし、その後に考え直す事も可能ですのでじっくり考えましょう。そして、授業を選択すると先生がやってきて授業開始です。主人公は渡された台本を読んで、ソレに合わせて演技し、先生とHして判定を仰ぐという進行になります。授業中には適宜選択肢が出現します。これの選択如何でその後のHシーンが変化したり、合否が変わったりします。また、このゲームの選択はその授業中のみ有効ではなく、のちのちに影響します。同様にあるシナリオクリア時にアイテムを貰う事で発生する授業というのも存在します。といっても、授業の総数は3×6の18個なのでそれほど複雑ではないのですが。そして、7日目に今までの行動如何でいずれかの先生が訪れ、もしくは誰も訪れず、エンディングとなります。

 システムはシンプルなおかげか非常に軽快です。とはいえ、設定項目は少ないですし、メッセージのバックログもないです。メッセージスキップはCTRLキー押し下げのみです。後述しますが繰り返しプレイが必須なのですから、もう少しそれを考慮したシステムになっていてもよかったのではないかと思います。
 CGは、夜想夢の原画さんの一人が原画担当となっています。あちらと比べると塗りがずいぶんあっさりしていてだいぶイメージが違います。作風に合わせて変えてるんでしょうかね。ちょっと崩れぎみな所もありますが、立ちCGの表情が微妙に訴えかけるものがあって私は気に入りました。CG枚数は少なくないですが、いわゆる差分差し替えも別としてCGモードに登録されるので、これを1と数えるとこの手のゲームとしては少なめの枚数になると思います。
 音楽は、おなじみのぱんださんによるノリノリのもので非常に格好いいです。これもゲーム内容に合わせてか比較的ノリの良い曲が多く、楽しめました。もちろん、メロディアスな曲もちゃんと聞かせてくれました。音源はCD-DAです。

 非常にシンプルなH中心ゲームです。そう、このゲームは「エロ」というより「H」ですね。注目した理由がノリなので間違ってはいないのですが、事の最中にも主人公の変なノリは遺憾なく発揮され、しょうもないギャグに腰が砕けそうになる事もしばしばありました。とはいえ、先生達の言動も充分変なので一人だけ浮いてるということはありません。また、基本的に主人公と先生が恋人同士という設定でHな授業を行いますので、台詞がかなりらぶらぶモードに入ってます。コミカルなやりとりと含めてこの辺が肌にあわない人もいるかもしれません。

 このゲームは2回目プレイ以降にフラグを引き継ぐ仕様になっています。この為、多分初回プレイではトゥルーエンドには辿り着けないようになっています。もしかすると各先生のエンディングすらも見られないかもしれません。まあ、これらは基本的に繰り返しプレイを続けていれば自然と見られるでしょう。ただ、あるシナリオでは、選択のパターンが無限大になりえるのに、たった1パターンのみしか正解と認めてくれないものがあって、非常に苦労させられました。他のシナリオは何も考えずに簡単に「合格」できたのですが、このシナリオだけはいろいろ予測を立ててプレイしたものの結局答えを教えていただくまでクリアできませんでした。これだけはなんでこんなに不親切になってるのか、疑問です。

 1プレイの時間は2時間程度です。絵柄が気に入ってお手軽でらぶらぶなHゲームがプレイしたい、という人にお薦めでしょうか。ちょっとボリューム不足の感がありますが、余り複雑になってもこのゲームのコンセプトから外れそうですし。

らぶ2ナビゲーション〜恋の免許講習〜

カクテルソフト F&C-138,139 Windows95/98/2000版 18禁 Hラブコメ
一押し:叶 深奈萌
 最近低調なF&Cですが、今作は全盛期ともいえるきゃんきゃんバニーエクストラのシナリオ担当だった春菜ななこさんがシナリオ担当だというので、同作品が大好きな私は非常に期待していました。

 主人公(名前入力可能)は20歳の大学2回生。バイトをして貯金をして、いろいろな物を買うのを我慢して。御羽島での合宿免許講習に参加したのだった。リゾート満載のその島で主人公は素敵な女の子達と出会う。主人公は免許と彼女、両方をゲットしてこの島を出ることができるのでしょうか。

 ゲーム期間は、8/1から8/26までです。最初の日曜までの選択でヒロインが決定し、その後はヒロインごとのシナリオが展開するという形になります。
 システムはときどき表示される選択肢を選ぶ事で進行するアドベンチャーです。メッセージスキップ、クイックセーブ、ロード、コンフィグ等のボタンが扱いやすい位置に配置されており、快適です。オートセーブ機能も充実しています。ゲームプレイ中に重要である「選択肢直前」と「一日の始まり」、「一週間の始まり」でそれぞれ個別に1個ずつ自動セーブが行われます。ソレとは別に任意の場所でクイックセーブできますから、通常のセーブはほとんど使いません。実際、通常のセーブを行おうと思うとコンフィグのボタンを押してから出てくるボタンを押さないと選択できないようになってます。その他では、F&Cおなじみの5種類の音源に対応したBGMや、ドラマティックモードのオン/オフ等が選べます。このドラマティックモードというのはWith Youのそれと同じです。今作ではサブキャラも多く、それぞれがたくさんしゃべりますので、このモードの威力が遺憾なく発揮されます。

 CGは、夏の南の島が舞台という事で強い夏の日差しを感じさせるようなカットが多いです。原画は「晴のち胸騒ぎ」の太田武志さんです。絵柄自体は流行とはちょっとずれているように思いますが、このゲームの雰囲気にあった絵だと思います。このゲームでは立ちCGだけでなくフェイスウィンドウも併用されていますが、ここに表示されるデフォルメされた表情等が大げさなんですがコミカルで面白かったです。また、この方法のおかげで立ちCGでは表現できない1ヶ所にたくさん人間が集まっている状態というのをうまく表現できています。立ちCGも、仲良くなったヒロインは頭の上部がフレームアウトするくらいアップになっている状態のものも用意されていて、プレイ中にどきっとさせられました。
 音楽はおなじみのdoorsの制作で、これも南の島のバカンスという雰囲気にあった明るい楽しい曲が多かったです。象徴的なのがオープニングのテーマ曲「恋のナビゲーション」で、ヒロイン役の声優さん5人がみんなで元気よく歌っていて聞いているだけで楽しくなれます。エンディングはこの曲の別ミックスバージョンが流れるのですが、この編曲の悪ノリも楽しかったです。
 音声は、サブキャラも含めてほとんどがフルボイスです。ほとんど、というのは一部の犬とかが喋らないということなんですが(笑)。演技はわざとなんでしょうけど、妙に大げさな感じのサブキャラとかがいてちょっと弱いかな、と思いました。とはいっても、ゲームを進めていくうちにこのキャラはこういうキャラだよな、とか納得がいくレベルの演技なのですが。ヒロイン役の5人はみんな文句なく上手です。配役の関係か、サブキャラの犬やらおばちゃんやらも彼女たちが受け持っていますが、ゲーム中にこれが気になることは全くありませんでした。

 シナリオは、冒頭に春菜ななこさんと書いてますが、実際は氏が担当したのは七瀬奈月シナリオのみでした。企画・構成も氏が担当しておられるので期待はずれではなかったのですが、シナリオ毎に微妙にキャラの性格が変わっている所がありました。また、春菜ななこさんの担当された七瀬奈月シナリオはちょっと特殊で、進行上重要な2択が度々出題され、これに間違うと即ゲームオーバーになるのです。親切なセーブ機能とそれぞれの選択のオチをちゃんと描いてくれているおかげで、いちいちゲームオーバーをしらみつぶしにしたくなる構成でした。この辺、ちょっと昔懐かしいテイストですね。
 また、七瀬奈月シナリオをクリアすると次回プレイから「桔梗姫」シナリオが遊べるようになります。これは奈月シナリオのその後、といっても島を出る直前の話なんですが、……になっていて、この島の「桔梗姫伝説」と主人公とヒロイン達がここに集まった訳などが説明されます。
 合宿というシチュエーションのおかげで、各ヒロインのシナリオに入っても他のヒロイン達やサブキャラ達の出番も減らず、舞台の中での主人公とヒロインの位置がよくわかる構成になっています。久々に世界が楽しめる作品だったということでしょうか。また、一部のシナリオのわき役をのぞいて嫌な奴がいないのもいいですね。

 プレイ時間は10時間程度です。難易度も非常に易しく、久々に攻略を全く見ずにプレイできました。
 このゲームの特徴はこの明るく楽しい雰囲気でしょう。ジャンルが「Hラブコメ」となっていますが、まさしくその通りです。昔は多かったこういうタイプのゲームですが、最近はすっかりなりを潜めてしまっているので、私は非常に懐かしく感じました。ちょっと絵が今風でなかったり内容も流行でない今作ですが、ぜひプレイして欲しい一本です。

eye's ONLY〜その輝きは眩しさに満ちて〜

ainos AIN-001 Windows95/98版 18禁 アニメフル☆アドベンチャー
一押し:曽我美奈子
 サイトに公開されたデモを見て、しっかりアニメしている事に感心してチェックしていました。

 主人公(名前固定)は、この春から大学生になり都会に出てきた。主人公を慕う、同郷から同じ大学にやってきた安藤百合恵、バイト先のウェイトレスの大波さやか、同じ大学に通うお嬢様の曽我美奈子。彼女達との交流で主人公と彼女達はどう変わって行くのか。

 シンプルで内容のない導入ストーリーを書いてしまいましたが、実際このゲームにはパッケージにもマニュアルにもプロローグは記載されていませんし、ゲーム冒頭にもたいした導入部分はありません。そのへんからしてこのゲームに「物語」を求めていはいけないのがわかります。

 システムは、ときどき選択肢が表示されるごくごくシンプルなアドベンチャーです。選択肢は非常に少なく、ほとんどのものはヒロインのルートに入る為のフラグ立てに関っています。
 設定項目は少なく、音声のオン/オフ、音楽のオン/オフが選択できる他はCTRLキー押し下げによるメッセージスキップくらいしか機能はありません。セーブ/ロード、タイトルに戻る、ゲームを終了する等のメニューはメニューバーの「ファイル」からいつでも選択可能です。

 冒頭に書いたようにこのゲームはアニメが特徴なのですが、他のゲームの立ちCGが表示されているようなシーンでもアニメーションが起ります。要するに立ちCGの表情変化がアニメーションで切り替わるという事ですね。面白いのですが、アニメーションのスキップはできないのでプレイしていていらいらする事もありました。また、他のゲームの立ちCGの表情変化でも多いのですが、現状にいまいちそぐわないアニメをする事もありました。
 他のゲームのイベントCGにあたるシーンはすべてアニメーションで進行します。これは当初期待したとおりなかなか良く動いています。アニメシーン自体も結構ふんだんにあって、満足感は高いです。まあ、アニメシーンのほとんどはHシーンに費やされているのですが。

 CGはアニメ中心のゲームだけあって、きっぱりくっきりしたアニメ塗りです。アニメシーンでも、キャラが別人になったりということはなかったのでかなりしっかり行程を管理しているのだと思います。ただ、立ちCGの一部が背景に溶け込まない、というか明らかに処理しわすれているというレベルの透明色ジャギが残っていたのが痛いです。一人のキャラの一部のカットだけなんですが。
 音楽は……鳴っていたな、という感じでほとんど印象に残りませんでした。
 音声ですが、なんとこのゲーム、アニメをウリにしているのに立ちCGで進行するほとんどのシーンに音声が付いていないのです。さすがにアニメシーンに音声がないということはないのですが、ほとんど全てのメッセージが口語でやり取りされるのですから、全てのシーンに音声を付けてほしかったところです。

 シナリオは、ほとんどありません。ヒロイン同士の横のつながりもほとんどないですし。ちょっとした事件が起って、それによってヒロインと急接近し、Hしまくって(笑)、エンディング、とそんな感じです。タイトルやサブタイトルからそれなりの物語を想像しただけにちょっと拍子抜けしました。
 ほとんど全てのメッセージが口語である点ですが、ある意味生の今の若者の言葉、ようするにリアルではあるんですが、どうも字面だけ見ていても意味が取れないところなどもありました。実際に勢いで会話していて、後で反芻してみると全く意味の通らない事でも流して「聞いている」ことはありますが、音声がない部分でもそういう部分があったのは残念です。「読まされる」からにはある程度フォローを入れるなりして意味を把握しやすくしてほしかったですね。

 1プレイ時間は2時間程度です。アニメのHシーンを見るものと割り切って遊ぶには良いかもしれませんが、特にゲームとしての優位性が感じられないので、18禁アニメを見るのと大差ないような感じです。パッケージ裏には「総アニメ時間1時間以上」と書かれていますが、それに8800円の価値が見出せて、絵柄が気に入ったら買ってもいいんじゃないでしょうか。そうでなければ値段の安い、好みの絵柄の18禁アニメDVDでも買ってる方がいいと思います。
 と、まあきつめに書きましたがアニメはさすがの出来だと思います。ヒロインが、ロリ、ボーイッシュ、眼鏡お嬢様とパターンを揃えてるのも強みでしょうか。ともかく、それなりの満足感は得られました。

 どうでもいいんですが、パッケージの18禁シールが貼ってある面の下にあるヒロイン3人が揃ってるカットの曽我美奈子と思われるキャラの髪の毛の色が全くゲーム中と違っているのが気になります。

ぶるまー2000

LiAR SOFT Windows95/98版 18禁 ブルマニアックアドベンチャー
一押し:常葉愛
 行殺新選組に引き続き、ライアーソフトのバカゲー路線が炸裂です。

 主人公「常葉愛」は、お金持ちのお嬢様で勉強もスポーツも出来て、美人でスタイルも良いという恵まれた学生。しかし、その性格、行動は破天荒で、回り、特に親友の橘あゆみに多大な迷惑をかけながらも楽しく学生生活を過ごしていた。そんなある時、夜中に酔っぱらって街を徘徊していた愛と愛犬のブルの前に、黒ずくめのスーツを着込んだサングラスの男たちと、それを追う頭にブルマーをかぶった怪しげな集団が現れた。サングラスの男達はM.I.B.(ブルマの男たち)のメンバーで「神のブルマー」と呼ばれる「月のブルマー」を護送している途中に、それをつけ狙うBB(BIG BLOOMER)団に襲われたのだった。巻き込まれて月のブルマーをたくされる愛。これが彼女と神のブルマーの出会いだった。彼女を真摯にストーキングする先輩の血走や、元BB団十ケツ衆の一員であるドクターブルマ等を交えて、どんどん大きくなっていく愛とBB団の戦い、そして彼女たちの命運はいかに!?

 このゲーム、バカゲーなんですがその場の勢いだけで書かれたものではなく、一本筋の通ったブルマーを中心とした世界観/設定がきちんと作られていて、それが作中でちゃんと説明されています。なので、それを中心に世界征服だのというキーワードが語られても、笑えるだけじゃないんですね。ちゃんと特撮ヒーロー物のノリで、終盤はとことん盛り上がります。「特撮ヒーロー物のノリ」という言葉を使いましたが、まさしくこのゲームはTV番組を意識して構成されています。全8話で構成される様になっているのですが、1話はともかく、それ以降は次の話をプレイヤーが選択することができる(スクランブルマシステム)のです。それも、どんなシナリオかわからずに選択するのではなく、選択時にHシーンがあるかどうか、ブルマーバトルがあるかどうか、総集編なのか、最終回なのか、1時間枠に拡張しての特番なのか、短縮15分枠なのかがアイコンで知る事ができ、他に次回予告を見る事ができます。また、選べるシナリオはそれまでのシナリオ選択によって変わります。選んだシナリオもそれ以前のフラグで会話内容や登場人物が変わったりもします。エンディングもこれと同じパターンでプレイヤーがみずから選択する事になります。これによって、自分の好みの流れを作る事ができるんですね。ただ、消極的な選択ばかりしていると最後に突然盛り上がって終わるというよくわからない展開になりかねないのですが。

 さておき、システムはごく普通の選択式アドベンチャーです。ただ、ゲーム中重要な選択は画面に「運命の選択」等と表示されて重要な事が明示されるのが親切です。この為、重要でない選択はふざけた選択を容赦なく選べるんですよね。
 そして、シナリオによってはブルマーバトルが起こります。ここでは、愛を使ってBB団の刺客と戦う事になります。ブルマーバトルの選択コマンドは3つ。ブルーミングとアタック、チャージです。ブルーミングは、貯まったムレムレ度(後述)に応じた必殺技を発動させるコマンドです。アタックは通常攻撃で、基本的にはあまり使いません。チャージはムレムレ度を上昇させる為のコマンドで、妄想H、ひとりH、ふたりHのサブメニューを選択して実行します。このサブメニューでわかった方もいらっしゃるかと思いますが、要するにムレムレ度とは愛のブルマーの中のそれなのです。これが高まる事で必殺技が使えるようになるのですね。チャージのサブメニューは、それぞれCGも用意されていますが、ムレムレ度の上昇率が高ければ高いほど暴発して愛自身にダメージが行く可能性があります。必殺技は最初にプリセットされているもの以外は、ブルマーバトルに勝利するたびにゲットできます。ただし、この必殺技はブルーミングを選択した時のムレムレ度にあわせて自動的に発動しますので、習得したからといってなんでも登録していくと後で苦労する事になります。また、見えないルールとして、ブルマーバトルは10ターン経過して決着がつかないと自動的に愛の負けになります。これが何故なのかはプレイして確かめて下さい。
 シナリオ選択については上に書いた通りです。選択順序によってそれなりにテキストが変わりますので、なかなか手の込んだシステムだと言えます。

 画面構成は立ちCG+顔ウィンドウという変わり種です。立ちCGは、ほとんど変化せず登場人物を映すのみで、感情表現はこれまた絵自体は変化しない顔ウィンドウで行っています。変化しないのに何故感情表現が出来るのかというと、顔ウィンドウに汗のマークや、……を連れたトンボ、青筋や、ため息、大ちゃん泣きの涙等などを附加するのです。表情が変わっていないので、ちょっと不自然に感じる所もありましたが、これのバリエーションと使い方が適切でなかなか面白い表現だと思いました。また、メッセージウィンドウの方もちょっと特殊で、顔ウィンドウからの吹き出しになっている為か、ときどき形が漫画で叫び声を出した時のようなとげとげ状のものに変わって状況を表現していました。中に表示される文字も色を変えたり大きさを変えたり、工夫されています。
 CGは、原画がちょっと特徴的かもしれませんが、塗りは充分奇麗です。また、ブルマーバトルの時のアイコンやダメージ効果、その他のボタンやウィンドウデザインなども力が入ってます。
 音楽は……かなりいいと思います。このゲームらしいコミカルな曲、ブルマーバトルに合わせた激しい曲、クライマックスに合わせた盛り上がる曲、エンディングのしっとりした曲、壮大な曲、どれも場面と違和感なく聞かせてくれます。また、音源がCD-DAなので音の面でも合格です。それと、オープニングの歌が強烈です。ゲーム中にも登場するブルセラショップ(?)ぶるまーずというお店のCMソングなんでしょうか。女性が真面目に変な歌を歌い上げる途中に怪しげな男たちの叫び声がいろいろ挿入されて、とにかく異様な雰囲気を作り上げています。デモムービーの映像も含めて必見必聴ですね。あと、ゲーム中に挿入される環境音などのSEの量と質も良いです。

 シナリオは、上にも書きましたが、バカなだけでなくきちんと物語として完結しているなかなかの出来です。作中にはアニメや漫画、他のゲームのパロディ等がいろいろ登場しますが、それに頼ることなく独自の面白さを作り上げています。また、特殊な設定を、説明したがるキャラを登場させる事で不自然でなく、というかお約束的に説明させているおかげで、意味不明のまま進行する事がほとんどありません。まあ、説明されても納得できる内容でない事もあるのですけど、それはまあガンダムのミノフスキー粒子みたいに一つの大きなウソを本当と仮定する事で、他のたくさんのウソを説明しているという形なんで、仕方ない事だと思います。

 他に面白い要素としては、おまけのCG鑑賞やHシーン鑑賞モードのサムネイルに、エロビデオのあおり文句のようなキャプションが付いている事でしょうか。本編の内容とは大幅に食い違った無責任なコメントが異様にリアルです(笑)。
 もう一つ、セーブした時にセーブエリアの上にたった1行、ブルマーに関する点取り占いが表示されるのもなんか味があって面白いです。

 不満点としては、私の環境だとゲーム終了時に不正な処理ダイアログがでて、これをOKを押して消すと画面がぐちゃぐちゃになって再起不能になる事でしょうか。電源を落すしかなくなって、割と致命的な問題なんですが、ゲーム本編に問題が感じられないので放置してます。
 また、基本的には音声付きではないんですが、BB団戦闘員の叫び声とか、ブルマーバトル時の必殺技名などを音声で読み上げてくれます。これらの声がいまいち素人臭い事でしょうかね。

 ともかく、いくつか問題はありますが、非常の楽しめました。他にもこういう特撮ヒーロー物を模倣して失敗してる作品がたくさんある中、この作品の出来はかなりのものです。
 標準的な長さのシナリオは大体1時間程度でプレイできますので、1プレイの時間は8時間程度でしょうか。プレイの区切りは非常に明確なので、細切れにしか時間が捻出できない人でも安心です。お薦めは、バカゲー好き……というより、テンポの良いコメディが好きな人でしょうかね。バカノリもそうなんですが、このゲームは勢いだけのものではないので、もっと広い範囲の人にお薦めできます。

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